第2章 出会い
フードを手でおさえながらおずおずと片手にのった1ベルを差し出す。
『・これだけ・・しかないんです。・・買えますか?』
震える手で差し出されたコインを見ておじさんは
「ごめんね。10ベル無いなら売れないよ」
そう冷たく言うと作業の為に私から顔をそらし後ろを向いてしまった。
『・・お・お願いします!!数日なにも・・食べていないんです!!!』
そういうと深く深く頭を下げた。
『お・・お願いします!!』
おじさんはチラッと振り返るが視界に入れないようにする。だけど私も負けないように頭を下げた。
「おじょうちゃん営業妨害で警察呼ぼうか?」
そう言って私の腕をつかみ突き飛ばした。
その拍子にかぶっていたフードがとれ真っ黒な髪が露になってしまった。
「ほう。リーデルか・・・。」
見開いたと思った目を細めて口元が歪んだ。
その目を見て背筋が凍るようにゾクリとした。