第2章 鬼ヶ里
神無がそう答えると、光晴は再度目を見張る。
は…、と口を開く。
「双子やて…。聞いてないわ、そんな情報。にしても、匂いが強い…。三翼の俺でも惑わされそうや」
葉月はやっとのことで足を動かし、台所へ逃げ出そうとした。
「ちょっと待ってや、君にも話があるんや!」
ぴたりと足を止めた葉月に光晴が言葉を続ける。
「とりあえず着いてきて」
アパートの外に目線をやると、1台の車が止まっていた。
「すんませんが娘さんもらっていきますわ」
その言葉は二人に向けられているのではなく、二人の奥にいる、母親に向けられていた。
「じゃあ行こか」
神無と葉月に目を配らせ、確認する。
「華鬼がーーお待ちです」