第2章 鬼ヶ里
っ………
ただ無我夢中で走った。
上靴のまま校門から抜け出し、自分のアパートまで走り続けた。
町を上靴のまま駆け抜ける中学生を不審に思うひと達はたくさんいた。
神無の身体に好奇の視線が刺さる。いつも家から学校まで歩いて二十分はかかっていた。走ったら十分程で着くだろう。
だから走った。
走り続けた。
「はあっ、はあっ」
やっと…、ついた……
アパートの前に着いたとたんに緊張の糸が限界を知らせ、その場に倒れ込んだ。
そのあとすぐに家の扉が開いた音がした。多分葉月だろう。
「どなたですか?…………神無?………神無!?」
助かっ………った
自分の意識が薄れていくのを感じながら神無は意識を失った。