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引きこもり少女と透明の檻【華鬼】

第2章 鬼ヶ里









「誰だ!?」




男子生徒達は咄嗟に身構えるが相手の気配が全く感じられなかった。
男達は多少のやり合いは慣れており、しかも自分腕にはそれなりの自負と自信があった。だが、今回の相手はいつものいざこざとは違い、向かってくる相手が誰なのか分からない、さらに気配も感じないとなると勝機は半分より下回ることになる。



男達は一ヶ所に集まり、互いに背を向けあって来る相手に死角を作らないよう、防御の姿勢をとった。








「困った坊や達だ」





二度目の声。今度は確実な気配を主張した。その方向に振り向くと、建物の影から一瞬、女と見間違えるような恐ろしく美しい男が現れた。


風で白衣を翻したその男は生徒達から“保健室の麗人”と呼ばれ、慕われている男、





「高槻先生……!?」






名前を呼ばれた男は男子生徒の奥に横たわっている神無に目線をやり、表情を曇らせる。
そして目線を戻し、腕を組み、目を細めた。






「一翼、高槻麗二」






氷のように冷たく微笑みながら呟く。










「ったく、ちょっと目ぇ離したスキにこの有り様かいな!?鬼の理性はなんちゅう切れやすいんじゃ」




呆れたような声が頭上から響く。その声は吹き荒れる風と共に大きくなり、声の主が颯爽と現れ、神無と男達の間に神無守るように立ちはだかった。




そして男達を睨み付け、呟く。






「二翼、士都麻光晴」







身の危険を感じ、逃げ道を探して後退る。





「おっと、そう簡単に逃がさないよ?」




逃げ道を塞ぐように現れたのは童顔の少年。
にこやかに聞こえるその声には怒号が込められているのを敏感に男達は感じ取った。





「三翼、早咲水羽」






少年の言葉に耳を疑った男は驚愕の表情と共に言葉を繰り返した。





「さ、三翼―――!?」










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