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引きこもり少女と透明の檻【華鬼】

第2章 鬼ヶ里







男を誘うように神無の色香が周囲を包み込む。
そのあまり膨らみのない胸には物足りなさを感じるが、彼らの欲を満たすには十分だった。



泣き叫ぶ少女を無理やり犯すのもいい。
命乞いする無様な姿を踏みにじり、切り裂いてやるときの快楽は体の芯が震えるほど心地よい。







舌舐めずりをした男の姿に神無は全身に殺気を感じ、ついに体が動かなくなった。









追い詰められた神無は混沌する意識の中、自分の体に無意識に手を伸ばす。




「え?」



「なんだ?」





その様子を見た男たちが口々に口を開き、動揺した。







それを気にも止めず、少女は肌に這わせた指の爪を肌に食い込ませる。


そしてそのまま一心不乱に一直線に爪を動かした。





「…っ…」


ちりちりした痛みが肌から脳に直接伝わってくる。





ブラウスに動きに合わせて点々と真紅の花が咲く。肌にある傷の上に更に傷が重なった。








彼女は無意識に自傷行為を行っていた。自分を取り囲むもの、全てを消し去るように。








「おい、コイツおかしいぜ」


一人の男が神無の姿に体が強ばる。





「かまわねーよ」




だが、もう一人の男がその言葉を切るようにいい放った。






「おかしかろうがマトモだろうがどっちでもいい」



男の眼光がより鋭くなる。口元に弧を描き、ニタニタと神無をなぶるように見つめた。




「ああ、そうだな。どうせ」













喰うんだから―――










枯れ葉の音がカサっと鳴り、男が一歩神無の方へ近寄った。





その瞬間、周りの木々、雑草がざわざわと揺らめき、突風が吹き荒れた。




それは男達を囲うように吹き、凍てつくような冷たさだった。





そう、まるで真冬のような。




















「おいたが過ぎますよ」





少し呆れたように、だが鋭い棘で刺すような声がどこからともなく降ってきた。





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