• テキストサイズ

ゲームはお好き?

第10章 2つ目


桃「すっげー物音が聞こえるんスけど...」

進路相談室の扉の前に立つとドンドンと壁を叩くような物音が絶えない

2階に上がってきた時には全く聞こえなかった

柳「どうする、精市」

幸「勿論、入るに決まっているじゃないか」

後ろではブン太と桃城の目が怯えていた

河「あ、ヒ、ヒント、は...?」

河村が思いだしたかのように俺達に訪ねてくる

柳「それが、」

【男が恨んでる?女子生徒が恨んでる?どっちかな?】

柳「としか書かれていない」

菊「それ、ヒントに入るのかニャ?」

桃「ないっしょ」

中からは壁を叩く音が次第に大きくなっている

教師が幽霊に殺された事を怒っているのか

女子生徒がただ単に怒っているの

しかし、女子生徒は此処では殺されていない

ただ連れ去られた現場だけ

なら男の方は?

此処で彼女達に殺された

ならば、男を説得すればいいのか...?

〈精市...〉

幸「!」

俺は頭に呼びかけられた

誰からだって?そんなの1人しかいないだろう

柳「どうした?」

幸「...なんでもないよ」

辺りを見渡しても俺達以外に生きている人間はいない

この声の主も今は下で眠っているはずだ

それにあそこには仁王がいる

アイツが居ながら彼女を見失う事はないだろうし

〈互いに互いを恨んでる、解決不可能。強行突破のみ〉

幸「...不可能、か」

頭に響く声は、今の俺達を見て的確に判断しているようだ

〈強行突破、扉を開けて2歩進んで立ち止まる〉

幸「(それだけ?)...なのか?」

〈こちらからは手を上げない、口を開かない。耳を傾けるだけ〉

丸「幸村君?」

〈何もしない、それは出来ないから。未知数の相手に出来ない事をしない。それは早死の片道切符〉

それを最後に俺から違和感が取れた気がした

辺りを見回しても何も変わらない

そこにあるのは煩く鳴り響く部屋と、静かすぎる廊下

そして、俺の周りにいる5人の生きている人間のみ

幸「行こう」

柳「解決策があるのか?」

幸「天の声が聞こえてね。解決不可能だって」

皆は一瞬だけ目を見開いて俺を見る

表情はかなり強張っていたが、瞳には静かに揺らめく炎の見えた

幸「俺は天の声に従うだけ。そこでは何もしないでほしい」

菊「何も?」

幸「声を上げる事も、手を上げる事も、ね?」
/ 321ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp