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第10章 2つ目


体育教師の頼みで運動場の倉庫に来ていた氷月が現場を押さえた

俺達は奈々がいない事に気づき探しに出かけようとしたら

同級生の女子テニス部員の子が俺達を呼びに来た

そして倉庫で見たのは相手を蹴散らす氷月の背に隠れる

怯えきった奈々の姿であった

氷月の前では片膝を付いて立っている子もいれば

完全に伸びている部員が見られた

氷月の瞳は冷たく鋭く、物を言わせないような目つきをしていた

山吹の亜久津よりも鋭い目をしていた

相手を上から見下しており、叱ろうとしていた真田の声も殺していた

まるで蛇に睨まれた蛙の気持ちを知ったと言っても過言ではない

氷月が視線を外して倉庫から出ると

女子テニス部員は座り込み放心状態になった

しばらくして教員がこちらに向かい

女子テニス部だけを連れて行った

俺達はそのまま部活に戻った

次の日、教室には彼女の姿が見えなかった

生徒会長に聞いた所、問題を起こした生徒として生徒会の雑務をやらされていた

隣の生徒会が使う資料室へと行けば

机の上に大量の資料が置かれており、その山を1人でさばいていた

前日の女子テニス部の子達は別件(肉体系)を任せたらしい

帰りになって皆で資料室へとやってこれば

朝にあった足元を埋め尽くすような量の資料は

嘘のように束ねられ教室の隅に追いやられており

さすがに疲れ果てたのかノートパソコンを開きながら

その手前で腕を枕にして眠っていた

蓮二がパソコンの内容を見れば

去年の全体資金をまとめていたらしい

部活の費用、体育祭・文化祭の費用、修学旅行等のイベントの費用

何から何までを打ち込み、計算を繰り返していたらしい

綺麗に束ねられている紙の中には

その裏の白紙を利用して自分で計算をしていたらしい

それらの苦労をしながらも弱音を吐かずに終わらせた事を

俺達は何も言えなくなったし頭も上がらなくなる

そこから彼女の事を信用して接近すれば

意外と話しやすいし、親しみやすかった

距離は中々縮まらなかった理由は今さっき知った

それでも俺達の思っている事には変わりはない

それらを一通り話していると

何やら物音が絶えない部屋の前に来ていた

扉の上にあるプレートにはしっかりと「進路相談室」

と書かれてある
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