第8章 1つ目
仁王側
1つ目が解決した事に溺れておった
そのために周りが見えんくなり
隣で手を引いておる氷月の容態にも気づかんかった
俺は最低な人間じゃな
手を握ったまま氷月を抱えて走る
横目で昇降口を確認し、もう少しで保健室
氷月の体全体から耐えている様子が見受けられる
その証拠に体が強張っておる
真田が先を走り扉を勢い良く開けた
丸「早いじゃねーかよぃ」
ブンちゃんがいつもの気楽さで迎えてくれた事は正直にうれしいが
仁「すまん」
俺はブンちゃんをどけてベットに進んだ
幸「何があったんだい?」
ベットに連れ込み氷月を横に寝かせる
後ろでは幸村が真田と赤也から事情を聞いておる
水島「氷月...」
ベットを挟んだ向こう側では奈々が心配そうに氷月を見守る
仁「守れんかった」
水島「私、何か出来ない?」
仁「!」
守れなかった事を攻められるのかと思っておったが
そんな物は全く来なかった
水島「氷月を守れなかったのは皆一緒だよ。此処に残っている人達も、一番近くにいた雅治と一緒の気持ちだよ」
仁「...わかったぜよ。奈々は俺と立ち位置を変えて氷月の背中をゆっくりと摩ってくれんか?俺が氷月の様子を見る」
水島「うん!」
急に明るさを取り戻した奈々は小走りでこちらに向かい
ベットの隣で膝立ちをして背中を摩る
俺は氷月の前へと行き表情を確認する
顔は真っ青を通り越し白に近かった
さらに辛い事により両目を強く瞑っておる
両手で口元を強く押さえておる
仁「氷月、此処はもう保健室じゃ。皆も近くに全員おる」
浅い息を小さく繰り返し時々息が止まる
出そうになるのを自分で止めておるのじゃろう
仁「氷月、ゆっくり大きく息を吸って吐くんじゃ」
聞こえておるかはわからんが一応言ってみる事にする
氷月は馬鹿じゃない
だから、既にしようとしているが息を吐き出す時の不安感があるのじゃろう
それでも必死に少しづつ息を大きく吸っておる
そして細かく息を吐き出して自分を落ち着かせておる
カーテンでベットを囲んで誰の視線も感じさせないようにする