第8章 1つ目
「コロ...サ...ナイノ?」
『なんで?なんで殺す必要があるんだい?』
「コロ...シタ...カラ...オオクノ...イキテ...イル...ニンゲン...ヲ...」
『私はそんなの望まない。此処で君が死んで此処に居るって事は何かやりたい事があったんじゃないの?』
「ダカラ...」
『それに、君達は既に死んでいる。これ以上、どうやって殺すんだい?』
「......」
鼓動が速度を上げる、嫌な汗が流れる
『早く成仏した方が君のためでもあるし、私のためになる。君の場合は新しい人生を歩む事が出来る。神の下で魂を清めてこの世に帰ってこれば次の人生が待っているよ。そこで新しい彼氏あるいわ彼女を作って幸せになればいいじゃないか』
「アナタハ?」
『私?うーん、そうだな。まだ生きるかな?やり残している事あるし、それからでも遅くないしね』
「......」
『この世界には何もないよ。あるのは無だけ。此処に残る?それとも、向こうに行く?』
「行き...たい...」
蓮二から本の内容を聞いた時から
まだ会話が成立するのがわかった
何処にそんな物が書かれてあったかなんて自分でもわからない
だけど、1つ目だし軽いだろうと言う浅はかな考えでやって来た
最初の問いかけに答えられなかったのは炎の暑さが心を乱したから
なら、炎を消して環境を作れば
最低限の話が出来るのではないかと踏んだ
やりたい事が出来ないのは、彼女も私も一緒だから
「行く...」
彼女の黒い体は光に包まれた
体は消えて青い炎が宙に浮く
そこから人の形が見えてくる
どうやら焼かれる前、事件にあう前の姿なんだなと思う
「ありがとう...」
『はいはい』
彼女は最高の笑みと共に天井へと昇っていった
そして天井にあたると青い炎となり何処かへ消えていった
視線を先ほどあった体の場所に戻すと赤い球が転がっている
ビー玉サイズの真っ赤な玉が
仁「氷月っ!」
『?』
机から降りるのと同時に雅治達が駆け付けた
仁「何をしたんじゃ?」
雅治の表情は明らかに怒っている
後ろにいる2人も一緒の表情だ
『ごめん、2人以上だったら危ないと思ってね』
真「お前...」
『怒るのは保健室に帰ってからにしてほしい』
弦一郎が怒鳴る寸前だったのでそれを止める