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ゲームはお好き?

第8章 1つ目


私は水で消された机の上に座った

こう言う物は燃えないんだと心の中で苦笑を漏らす

足を組んで、組んだ足の上に頬杖をついて相手を見下ろす

この角度は悪くないかもしれない、だけど嫌いかもしれない

精市はこの角度がきっとお気に入りなんだろうな

雅治は...多分嫌いだろうな

この状況下の中、人は焦ってしまう場面なのにも関わらず

私の思考はテニス部の事を考えている

蓮二とブン太は好きそうだよな

弦一郎と比呂士は絶対がつくほど嫌いだろう

ジャッカルと赤也も多分嫌いだろうな

「ナ...ン...デ...」

『......』

見上げている彼女の事をすっかりと忘れていた

良く見れば手には布のような物があった

ああ、わかったかもしれない

『料理、苦手だったんでしょ?』

「!」

彼女は体をピクリとさせた

『苦手で頑張りたくて、家で練習を積み重ねたんだよね?』

「ナ...ン...デ...?」

彼女の表情は変わらない

いや、変われないんだ

顔の大半は焼かれているために表情が読み取れない

『指に絆創膏なのかな?それが沢山見えるから』

指でそれを示す

それは努力の証だった

「アナ...タハ...リョウリ...スルノ?」

悲しい表情をしているように見える彼女からの質問だ

『しない。出来ないんだよ』

「ドウ...シテ?」

『味見が出来ないんだよ。味見がね』

決して味音痴とかでは...多分ないと思う

『拒食症でね、一口でも運べば戻してしまうんだ。味わっている時間もないよ』

「......」

表情はわからないと言ったが、相手の内くらいわかる

今彼女は哀れんでいる、私の事を

『好きな人でもいたの?』

話を逸らし、相手の内を変えて行く

「イ...タ...」

悲しい表情にまた戻る

燃え盛る炎は彼女に気持ちに反応しているのかわからないが

少しずつ消えていってる

『もしかして、同じ班になったとか?その人は人気者だったとか?』

「!」

あれ?当たってる??

『まさか、人気のある人が彼氏さんでしたって事は』

「......」

おーおーマジかー、どんぴしゃかー

...感が鋭いのはこう言う時が嫌だな

周りの炎が収まるに連れ、嫌な臭いがさらに追い打ちを掛けて行く

ヤバい、かもしれない

息が浅くなり、酸素が十分に取れない
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