第6章 経験者
仁「例えば、お前さんが犠牲になって俺達が助かったとしよう。助かった時の気持ちはどうなると思う?」
『きも、ち...』
雅治からの衝撃的発言だった
仁「俺は少なくとも「助かった」気持ちにはならない」
『なんで...』
仁「誰かを殺して自分たちだけが助かるのは、自分がソイツを見殺しにしたと一緒じゃないか」
『!』
仁「見殺しにしてまで助かりたくない。だったら俺達なり足掻いて、此処を出ればいい」
『......』
彼らの顔が上がっている
皆一緒の気持ちなのか、雅治の言葉に頷いている
『裏切るかもしれないよ?見捨てるかもしれないよ?置いていくかもしれないよ?』
あの時の彼らのように
幸「俺達を裏切れたらね」
真「お前は優しいからな、見捨てる事はないだろう」
柳生「置いて行かれても、追いかければいいだけですよ」
切「氷月先輩は奈々先輩と違って優しいスから」
丸「幸村君を裏切れたら褒めてやるよぃ!」
ジャ「あ、ああ。そうだな...」
柳「置いていかれても、次の行動は読めるぞ」
仁「もし途中で失敗しても、経験者だからとかの理由でお前さんを攻めたりはせん。まあ、死ぬ気はないんじゃがな」
水島「私は何処までも氷月と一緒にいたよ!」
先程の暗い雰囲気が何処かへいってしまった
彼らの笑顔は自分にとっては安定剤のように
気持ちが安らぐ時がある
仁「ベットの上じゃろうが、俺は毎日行ってやる」
雅治は私の頬に手を添える
暖かい、痛みが少しずつ消えていくような感じになる
『私は、どうすれば...』
わからない
彼らを守りながら行動すればいいの?
彼らを守れるの?
彼らを無事に帰す事が出来るの?
幸「いつものように振る舞えばいいよ。何も難しくないだろ?」
『!』
柳「此処でのお前は不利な立場になっている。だが、俺達が守ってみせよう」
真「日ごろ何かと世話になっているからな」
丸「そうだぜぃ!」
ジャ「俺にもやらせてくれ」
柳生「私にもよろしいでしょうか?」
切「俺もやるッス!」
水島「氷月!私も守るよ!」
上辺だけの言葉には聞こえなかった
幻聴にも聞こえなかった
軽い声にも聞こえなかった
それだけ、心が軽くなった
視界が広がった気がした