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第6章 経験者


精市の場合は相手の精神的行動を感じ取るタイプだ

相手の気持ちを理解するが、同情はしない

だからこそ、中途半端な誘いで相手を惑わす

一方、蓮二の場合は

完全に相手の物理的行動を予測するタイプである

相手の気持ちに触れては来ないものの

相手の心情を読み取り、次の行動を正確に予知する

だからこそ蓮二は私の行動の意味がわかっている

雅治の場合は

私の気持ちを全て知っているからこそ

次にする行動、心を読み取る事が可能

こうやって見れば、ある意味カウンセラーにでもなれるんじゃないかと思ってしまう

『......』

2人が腕を掴んでいる力が少しだけ強まった

まるで「此処に居ろ」と訴えているようだ

足に力を入れれば入れるほど、2人の力も強まっていく

柳「俺の質問に答えて貰うぞ」

言うのか?

正直に?

彼らをこんな危険な場所に連れて来てしまったのは

私のせいだ

私が守らなくては、率先して解決しなければならない

彼らは此処で死んでもいい人間じゃない

『...死にに行きはしない。ただ、解決しに行くだけだ』

どうせ助からない命

彼らのために使わなければならない

例え、現実世界に戻って

病院のベットの上での生活が待っているだけだ

水島「嫌だ...」

『?』

水島「死なないでよっ!氷月っ!!」

『なっ!』

奈々の叫び声は図書室を震わせた

自分に向けられた言葉

ドクリと心臓が鳴った

水島「皆で出るのっ!絶対に出るのっ!」

出た、奈々の我が儘

これが出た時、私は回避する事が出来ない

弱いのだ、奈々の我が儘に

『現実世界でも助からない命。だったらこんなの...!』

パチンッ!

乾いた音が響いた

頬がだんだん熱くなる、痛みがじわりとやってくる

仁「...お前さん。自分が今何を言おうとしたかわかっておるのか?」

『......』

いつもより低い声、雅治に捕まれている腕が少しずつ悲鳴を上げている

仁「お前さんは自分の命を、今自分で殺したんだぞ。わかっているのか?」

なんの方言もない、普通の日本語、標準語

恐る恐る彼の方へと顔を向ければ

いつものようなポーカーフェイスは何処にもなく

今まで見た事がない、ド怒りの表情をしている
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