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ゲームはお好き?

第6章 経験者


『これが私に起こった事、だよ』

皆の顔色や表情なんて見なくてもわかるだろう

此処からでは見えないからだ

皆の顔は下を向いている

奈々に至っては口に片手を添えている

だから話したくなかったんだ

こんな非現実的な話を信じて貰おうなんて思っていない

だけど、これらの話をして皆の気分が害する事が一番嫌だからだ

窓を見れば真っ青な月が眠っているように見えた

図書室を照らす光量は変わっていないのに

辺りが暗く重く淀んでいるように感る

さあ、こんな中

誰が最初に口を開く?

奈々「氷月...」

『何?』

またもや驚かされた

彼女が一番最初に口を開くなんて

一番顔色が悪いのに、何処にそれだけ言葉に出来る力があるのか

水島「私の作った料理とか、って...」

『!』

重度の拒食症

そのためにどんな食べ物も拒否してきたこの体

時々、本当に時々だが奈々から一口だけ

無理やり入れられた事が何度もあった

どれだけ拒んでも無理やりに入れてくる

『出来るだけ、飲み込んでいる』

水島「!」

『家に帰ると戻してしまう。ごめん』

水島「ッ...!」

奈々の顔が上がったかと思えば目に涙を溜めていた

そして、それは流れた

声を殺して、誰にも迷惑を掛けないように

そんな風に見える

今の話で皆の精神はどれだけ削られたのだろうか?

私の場合は実体験をそのまま何も包み隠さず言っただけ

後は、聞いた人がどんな想像をするのかだけだ

雅治の顔色も悪い

2回目だからこそ怖いのかもしれない

彼らと一緒に居れば彼らの重りになり迷惑が掛かるな

溜息を1つついて立ち上がろうとした

両腕を両側の人に捕まれた

仁「何処に行くんじゃ?」

『何処って』

柳「お前は自分が迷惑するのではないかと思い、1人で死にに行こうとしたな?」

『......』

何も言えない、当たっているから

継続者は何処のグループにも入る事が出来ない

ゲームの言葉を借りるなら、今の私は

ソロプレイヤー、だ

彼らと一緒にいては迷惑しか掛けられない

だったら自分で解決しに行くしかない

柳「違うか?」

蓮二からの威圧

初めてかもしれない

精市とは違う感じがする
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