第30章 白い桜の木
そこから部活動はなく近くのゲームセンターなどで時間を潰してから帰った
仁「......」
『......』
2人と1羽で帰る住宅地も懐かしい
でも、何も喋らない雅治は何処か怒っているのかもしれない
仁「...のう」
『はい』
仁「後でちょっといいか?」
『勿論です。最後まで取っておいたんですからね』
仁「言って欲しいナリ」
『嫉妬しすぎて疲れたんだね』
仁「わかっておるなら目の前で見せるんじゃなか」
『ごめん、皆に「待ってて」て伝えちゃったからね。雅治も聞いたでしょ?』
仁「あれは空耳じゃなかったんか?」
『そうだよ』
仁「...フッ」
一瞬にしてニヤケた雅治の表情を見ながら夜道を帰った
弟「氷月姉ちゃん!」
『ただいま、正樹君』
仁「正樹、俺の氷月から離れんしゃい」
高校生になった正樹君は今でも私に抱き着いてくる
『ダメだよ雅治、嫉妬しちゃね』
仁「よく喋る口になったのう」
弟「兄ちゃん、嫉妬~?」
仁「...ウザイナリ」
『ウフフ』
姉「ほら、もうすぐでご飯出来るからお風呂でも行ってきて」
『わかりました』
2階でコートを脱いでジャージを探そうとしていると
ベットの上に見慣れたパジャマが置いてあった
真っ黒のふわふわしているパジャマであり、前をボタンで閉めるタイプ
それを持って風呂に入って出てくるとご飯がすでに出来上がっていた
仁「俺は後で入るナリ」
後で用事と言われたが絶対に先に寝た方がいいと思った
ご飯を食べ終わり食器を片付けていると雅治が風呂場に入って行った
母「あら?雅治、かなり不機嫌ね」
『雅治の目の前で他の人に触れていたからですよ』
母「あらあら、嫉妬深い子ね」
『はい』
母「毎日あなたの事を待っていたわ」
『はい』
母「今日は甘えさせてね」
『わかっています』
自分の部屋のベットに入り込む
冬は寒い、寒いのが苦手な事は変わりない
1年の平均温度が日本よりも下の場所で過ごしていても
この「寒いのが苦手」なのは変わらなかった
てかよくこれで2年間耐えられたと自分でも驚いている
仰向けになって天井を見つめているとドアから光が差し込んだ
仁「忘れ物じゃ」
「ホー」
廊下に居たヘヴィが椅子の背もたれに停まった
『ヘヴィ、ごめんね』