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第29章 クリスマスプレゼント


仁王側

家に帰ればリビングの机に段ボールが届いておった

「雅治宛よ」

仁「俺か」

そこには見た事がある字で俺の名前が書かれておった

俺はその箱を持ち自室のベットの上で中身を開けた

中には青い箱と白い封筒が入っておった

以前、試合中に貰ったネックレスはチェーンがダメになり

良い物が見つからんかったために大切に保管して居る

無闇に持って行き何処かに落としたくないからのう

白い封筒の中身を覗く

【仁王雅治様へ
いかがお過ごしでしょうか?急にこのような手紙や小包が届いて驚かれたでしょうか?私が居なくなってから寂しい毎日を送っているでしょう。フフフ、私も寂しいですよ。これは誕生日プレゼントです。受け取って貰えると嬉しいです。毎日あなたの事を思っています。
白川氷月より】

仁「連絡出来んのじゃなかったんか」

俺は少し呆れながら青い箱を開けた

中には雫型のネックレスが入っておった

雫の真ん中には力強い小さな光が見えた

きっと護身用じゃろうな

氷月が居らん間に俺に危険が及ばんようにするためじゃろう

病院のベットで初めて会った時、俺は胸が痛んだ

同い年の女子生徒が、母さんの友達の娘が

毎日虚ろな目で窓の外を眺めておった

誰が声を掛けても無表情の彼女はこの世の終わりのような目じゃった

毎日同じ態勢で外を眺めて、食事に手を付ける事もなく

机の上に乗っておる薬を大量に体に入れるだけの毎日

まるで「生きている」のではなく「生かされ」ておるが正しかった

細い喉を通る大量の薬に俺が吐きそうになる

高校に通い始めても暗い印象は変わらんかった

俺はそれが可愛そうに見えて毎晩氷月の部屋を邪魔して

会話を弾ませた

そして、1年目の秋に俺達がテニスの全国大会を優勝した時

初めて微笑んでくれた

その笑顔は弱々しかったがとても綺麗であった

以来、俺はコイツに惚れてしまった

ドリンクを運ぶ姿に、タオルを配る姿に、ボールを拾う姿に

いくつでも挙げられるほどに

日に日に笑顔が増えていく氷月を見ていて嬉しかったのう

そんな事を思い出し、俺は早速ネックレスを付けた

《待ってて》

仁「...おう」

誰も居ない部屋に氷月の声が聞こえて返事を返す

そのまま布団に入って目を閉じた
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