第29章 クリスマスプレゼント
柳生側
「お兄ちゃん、これ何?」
柳生「はい?」
帰ってきて早々に妹が部屋に来て小さな段ボールを睨んでいた
そこには丁寧な字で私の名前などが書かれてありました
柳生「誰からでしょうか?」
とりあえず妹から段ボールを受け取り机の上に置く
はて?本当に誰からでしょうか?
疑問に思ったが妹に勉強を教えるために一瞬だけ忘れる事にしました
1時間ぶりに自分の部屋へ戻ると段ボールの中身を確かめるためにカッターでガムテープを切った
中に入って居たのは青いケースと白い封筒
私はすぐに封筒の中身を読み始めました
【柳生比呂士様へ
いかがお過ごしでしょうか?急にこのような手紙や小包が届いて驚かれたでしょうか?あなたの事ですからこれが届いて怪訝な表情で読んでいるかもしれませんね。今回は私からの誕生日プレゼントです。気に行って貰えれば嬉しいです。
白川氷月より】
柳生「おやおや...」
青いケースの中身には宝石のついたネックレスが入っていました
不思議と力強く見えますね
まるで体が弱くなっていくあの時の氷月さんのようだ
マネージャーになり、奈々さんから色々と教えて貰っていた時が懐かしいです
1週間で仕事を覚え、他の部員にも気遣いをしている氷月さんが不思議と頼もしく見えました
けど、知っていました
日に日に他の女子生徒の呼び出しを貰っている事を
一度だけその後を付けて行くと
10人以上の女子生徒が氷月さんに罵倒の数々を投げていました
最終的には暴力までに発展していったのを
けれど、氷月さんは誰の手にも触れられる事がなく
相手の体力がなくなるまで付き合っていました
そして相手が地面に倒れるのを見ると踵を返して何処かへ行ってしまいした
そして去り際に私の方を見て微笑みました
まるで「安心してください」と言っていた感じで
私が付けているとバレて居るとは思っても居ませんでした
時刻を見れば日付が変わった所
私は読みかけだったミステリー小説を手に持ち
ネックレスの入ったケースを机の中にしまいました
《待ってて》
頭の中に直接、彼女の声が聞こえた気がした
振り返っても誰も居ない部屋を見て少しだけ寂しく思いました