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ゲームはお好き?

第25章 日常生活


仁王側

今にも息が止まるのではないかと思うくらい

俺の首に氷月の細い腕が力を増して行く

絞められてはおらんのに

氷月の口から出る謝罪の言葉が重く苦しかった

俺の背中に顔を埋めている愛おしい存在は

涙を流して辛い気持ちを押さえ込んでおる

大分落ち着いたのを見計らって氷月の拘束を解き

氷月を正面から包みそのままベットに横なる

俺には待つ事しかできん

だから氷月が何かを口に紡ぎだすまで待つだけじゃ

明日のテストはどうでもええ

そんな事よりも氷月が優先される

『ごめんなさい、待ってもらって』

仁「別に気にしとらん」

『うん、ありがと』

目に涙を溜めたまま俺を見上げてくる

ドキッと胸が高まり、顔が熱くなってくる

余りにも綺麗に優しく自然に微笑んでくるから不意打ちを食らったナリ

『雅治』

仁「なんじゃ?」

『昨日の約束、覚えている?』

仁「勿論じゃ」

『その約束、守れない』

仁「...聞いてもええか?」

『「力」が原因でね、その「力」を使った仕事があるんだ』

仁「霊現象にか」

『うん。そして例外にも一般人が自力で七不思議を解決させた事によって国から命令が、きたんだ』

仁「国から、か?」

『「七不思議」などの大きな怪現象には人間の持っている「力」を狙ってくる傾向が大きく、このまま野放しにしておけないみたい』

仁「!」

『そこでそれらの扱いについての専門学校があるんだって。国はそこに行けと言っている』

仁「...離れるんか」

『ごめん、約束破って、裏切って』

仁「まだお前さんは裏切っとらん。黙っていなくなるんじゃったら裏切ったと思うが、お前さんはちゃんと離してくれた」

『最低でも2年。その間に帰国する事はないよ。連絡もしてはいけない。結構内密に行っているみたい。でも例外があるんだって』

仁「?」

『そこでは実技も行われるから、その間に術に失敗して死んだ時は、2年以内に帰ってこられるって』

仁「何をっ!」

『死なない。絶対に死なないよ。皆とまた会うんだもん。絶対に、皆に、だからまた待っていてほしい。苦しい役回りにさせて、ごめんね』

静かに力強く言う彼女の瞳には

今までにない光を放っておる

綺麗じゃ、こんなに良い女を手放したくないぜよ
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