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第25章 日常生活


氷月の腹部を見た瞬間に俺の脳は現実世界に引き戻され

熱くなった体から体温が消えていく

『まさ、はる...?』

瞳に涙を溜めておる氷月が俺を見る

仁「すまんかった」

腹部にはあの忌々しく痛々しい傷跡が残っておった

指で傷跡のそってなぞると氷月の表情は和らいだ

仁「右腕も見せてくれんか?」

『ご勝手に』

優しく言う氷月の言葉に甘えて長袖を捲り上げる

丁寧に巻かれた白い包帯を外し、目的の物を見る

先程と同じように指でなぞる

仁「残るんか?」

『ええ、刺されてから治療に掛かるまでの時間が長かったかね』

何処か嬉しそうに言う氷月に俺は胸が締め付けられた

先程と同じように包帯を戻し、袖を直す

捲り上げた服を戻して俺は氷月の胸に倒れこむ

『んっ...』

氷月の体がビクンと跳ねる

『雅治?』

胸に耳を当てる

あの時は今にも止まりそうな程ゆっくりと刻まれていた鼓動

今では少し早いのではないかと思うくらいにそれは刻まれていた

一番安心する、氷月の鼓動を聞いておると酷く安心する

氷月の心臓が動いて、氷月の声が聞こえて、氷月に触れる事が出来て

これ以上、幸せな事はない

『クス...』

仁「?」

俺の頭が撫でられておる

氷月は撫でるのが上手じゃ、段々眠気が襲ってくる

『残った方がいいんです』

仁「どうしてじゃ」

『君達とわかりあえた証でもあるから』

仁「嫁にいけんぞ」

『嫁に行く気はありません』

仁「...貰い手がなかったら俺が貰ったる」

『冗談、ではなさそうですね』

仁「おん、お前さんに対してはいつも本気じゃ」

『嬉しいですね。けど、他にも本気で取り組んでくださいね』

仁「いい加減に敬語はやめんか、むず痒いぜよ」

『...私が楽しいので敬語のままでいいですか?』

仁「犯すぞ」

『...はいはい、わかったよ』

仁「最初から素直になればええんじゃよ」

『フフフ、そっか』

ゆっくりと撫でられる頭が気持ちよく

規則正しい鼓動が俺の子守歌になる

仁「氷月、何処にもいかんでくれ。俺のために」

『我儘だね。でも、わかったよ』

仁「ん」

それを聞いて安心した俺は夢の世界に入った
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