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第24章 涙


仁「氷月、何故俺達の目を見んのじゃ?」

『!』

隣にいる雅治は気づいていた

私が皆の目から逸らしている事が

柳「お前ならば俺達の目を見ればわかる事だろう」

丸「それ以外に何が欲しいんだよぃ?」

皆は私を逃がさない、皆は俺達の目を見ろと言っている

私はそれを逸らす、下を見る、皆が見えない

ジャ「それとも、言葉が欲しいのか?」

柳生「あなたを信頼させようとする偽りの言葉でもいいのですか?」

『......』

真「下を向いていれば知りたい事もわからんぞ」

切「氷月先輩、顔を上げてくださいッス」

幸「俺達を見るんだ氷月。今は氷月が俺達を拒んでいるよ」

『ッ!』

精市の言葉に顔を上げてしまう

水島「氷月、大丈夫だよ。大丈夫」

奈々が私の背中をさすってくれる

触れられた所が暖かくて安心して

自分が彼らに怯えているのがわかる

そして今、そんな彼らを拒んでいた

私が彼らを拒んでいた、それではいけない

仁「目を見んしゃい、氷月」

優しく声を掛けてきてくれた雅治

酷い人間だ、最低な人間だ

信じてくれと言われて信じていたのに

今だけは信じないで彼らから答えだけを求めて

だから

前を見る

皆の顔と表情を確認して、最後に目を見る

嘘をついている目はすぐにわかる

疑いの目、拒絶の目、私が睨むような視線を送って

その瞳が揺れた瞬間にわかる

「コイツは私に嘘をついている」

それがわかる

精神病院で入院していた時の看護師さんの目もそうだった

「大丈夫?」

それだけの言葉なのに薄っぺらで中身がないような言葉だった

ドクリと心臓が嫌な音を立てる

あの時の目を彼らがしていたと思うと

きっともう、立ち直れない、完全に壊れてしまうだろう

抜け出せない沼に浸って、何も見えない闇に陥って

だからしっかりと彼らの瞳を見る

時間を掛けてゆっくりと見ていく

彼らの目には強い光があり、それは綺麗に輝いている

これは真実の目だ

最後に雅治を見る

仁「......」

『......』

雅治の目にも強い光が灯っていた、だけどその奥には炎が見えた

赤く燃える熱い炎が見える

仁「...すまん」

『?』

そう言って雅治から視線を外された
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