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ゲームはお好き?

第24章 涙


?「静かにしましょうよ!」

?「雅治!何氷月に悪戯しているの?」

?「突いておるだけじゃよ」

頬を誰かに突かれている

そうして瞼を開けた時

「「あ」」

『......』

もじゃもじゃの彼と誰かの腕を止めている彼女が同時に言った

仁「おはようさん」

『......』

雅治は私の頬に指でツンツンと突いていた

仁「怒っとるんか?」

切「そりゃー誰だって寝ている所起こされたら怒りますって!」

水島「そうそう!!」

『いや、それよりも精市が、ね?』

全員集合している病室の一角では黒いオーラに包まれた精市が微笑んでいた

「「......」」

次第に2人はおとなしくなり、自分の席に座ったようだ

精市の黒いオーラは消えていったが、誰も口を開かなかった

『...あー、えーっと、全国大会優勝おめでとう。皆の試合は見れなかったけど、楽しかった?』

こうやって聞く自分がとても最低な人間だと思った

3連覇と言う重いものを掲げながら「楽しかった?」なんて聞く私は最低だ

幸「記憶が戻ったら「腹黒」にも戻ったんだね」

『褒め言葉として受け止めておくよ』

幸「フフ、やっぱり氷月はこうでなくちゃね」

『はぁ...そうですか』

精市が微笑んだ瞬間に空気が戻った

重たかった空気は軽くなって

冷房よりも寒かった空間は夏の日差しで暖かくなっている感じだ

皆の視線は私を捉えている、聞きたいのだろう、今を

『...平気、ではないね。まだ何処か自分を信じられないから、わからないから』

あの時、抱きしめてくれながら雅治がつなぎ止めてくれた時は

そのまま朝倉に連れ去られたから考えられなかった

『でも、自分の身に起こった事は変えられないからもういいんだ。だけどね、本当は皆が心の何処かで「化け物」とか思っているんじゃないのかって。勝手な考えだってのはわかってる、わかっているよ。それでも不安はあるんだよ』

なるべく皆の目を見ないように話す

私は人の目を見れば何を思っているのかがわかってしまうから

それは前の精神病院で入院しているときの看護師さんの目とかもそうだったから

そして、学校に出てきた時もそうだったから

だから嫌でもわかってしまう

だから見ない

彼らの

目を

見てしまったらわかるから

わかってしまうから
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