第22章 受け入れ
会場は熱気で覆われていた
入った瞬間に足元がふらついた
忍「もう、あかんのか?」
妖しく微笑む忍足先生に腕を掴まれ
なんとか体制を崩さずに済んだ
水島「氷月っ!」
『しーっ、お忍びがバレるよ』
水島「はっ!」
奈々は急いで自分の口に自らの手で蓋をした
改めて自分の足で立ちコートを見る
そこで試合をしているのは
茶色のサラサラヘアーで目を閉じている不二君と
銀髪のくせっ毛と短い尻尾が特徴の雅治だった
シングルス1は部長対決かと思ったが
すでにシングルス2で行われていたようだ
シングルス3の赤也と海堂君の試合は負け
ダブルス2の蓮二・比呂士ペアと乾・河村ペアには勝利
シングルス2は部長対決で勝利を収め
ダブルス1のプラチナペアとゴールデンペアには敗北
そしてシングルス1の雅治と周介の試合が行われている
スコアは3-4と押されている
水島「氷月、近くで見に行こう」
『けど』
水島「大丈夫、私達マネじゃん」
小さい声で胸を張りながら言う奈々に苦笑し
忍足先生を置いて彼らのベンチに向かった
雅治がゲームを取って4-4へと、振出へと戻し
ベンチに座った
水島「氷月?」
『行けますから』
階段をゆっくり降りて彼らの近くまで行く
コートに入れないけどすぐ後ろになら立っていられる
「おい、あれって」
「だよな」
「いいのか?」
部員が私を見て何かを言っているがそんな事は問題ない
奈々が「しーっ」っとジェスチャーを送っているからだ
切「うわっ!」
丸「なんでっ!」
水島「しーっ、だってば!」
今にも騒ぎ出しそうな2人に小声で叫べば
先ほどの奈々と同じ行動をする
ジャ「!」
柳生「!」
『いいかな?』
小声で2人に言えば2人とも頷いて道を開けてくれる
弦一郎は目を点にして蓮二は開眼している
皆の驚いている顔をが面白くて楽しくて
それでも、私の伝えたい事を言いたくて
雅治は焦っている
試合中の雅治が何処にもいない
イリュージョンで相手に成りすましても
その実力を出し切れていないから
だから伝える
優勝はどちらでもいい、ただ目の前の試合に勝って欲しいだけと