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第22章 受け入れ


『奈々...』

私は左手を上げて奈々の頬を触れた

柔らかくて暖かい

水島「氷月...っ」

『はい、此処にいますよ。奈々』

水島「本当に本物の氷月なんだね?」

私は重い上体を起こして奈々を見る

『はい。私は奈々を知っていますよ。勉強が苦手でテニス部のマネージャー業を一生懸命にやって、誰にも綺麗な柔らかな微笑みを零す事を。虐められていても誰にも迷惑を掛けないように1人でこっそりと泣いて彼らのために耐えているそんな奈々を、私は思い出しました』

水島「氷月っ!氷月っ!!」

『はい』

奈々は私に飛びついて私の胸の中で大粒の涙を零しながら大声で泣いた

『お待たせして悪かったね。でも、待っててくれてありがとう』

私は奈々の頭を撫でた

水島「ううんっ!いいよっ!待ってたよっ!」

泣きながらハッキリと言葉を言う器用な奈々は暫く泣き続けた

背中を摩って、頭を撫でて

服を濡らしていく大粒の涙は全て吸い取った

忍「氷月」

『先生』

扉をノックして入って来た忍足先生

『おはようございます』

忍「おん、おはようさん。さて、行くか?許可も取ってあるしな」

『はい、奈々。全国大会の会場へ行きましょう』

水島「うんっ!行くよっ!」

泣き止んだ奈々は先生を連れて外へ出る

白い紙袋の中には私服が入っていた

穿きなれた長ズボンのジーンズ穿いて

真っ白な靴下を履く

白い無地のTシャツを着てその上にカーディガンを羽織る

腕の包帯を見せないように長そでを着るのだ

病室から出て外出許可証を受付で提出して

約1ヵ月ぶりの青空の下へ出る

『暑いね...』

水島「氷月は長袖だからね」

『奈々だって、そうじゃないか』

水島は部活用の服装だ、黄色のジャージ姿の

水島「あ、氷月。これ持ってきたんだけど」

奈々の手には別の紙袋があった

中身を見れば一番大切にしていた服装が入っていた

『奈々...』

水島「雅治のお母さんに頼んでね。持ってきちゃった」
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