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第22章 受け入れ


仁王側

電話があり俺は幸村に一声掛けてから急いで病院に向かう

仁「氷月っ!」

水島「氷月っ!」

俺は電車の中で追いついた奈々と柳生と共に病室へ入る

忍「静かにせぇ。今さっき落ち着いた所や」

白いベットの上には苦しそうに顔を歪ませる氷月が横たわっていた

その呼吸音は震えており、時々小刻みに体が震える

俺はいつもの席に腰掛けて氷月の手を握る

寝ておる時でも握り返してくれる氷月の左手は

今日はなんの反応も示さんかった

寂しかった

忍「脳波が一時的に異常値へ入ったんや」

柳生「それで、氷月さんは...」

忍「君たちが来る少し前に戻った所や。あれだけ乱れたんや、仁王君。覚悟しといたほうがええで」

仁「...わかっとる」

先生が言っとる意味が分かってしまう俺がおる

脳波が異常値を満たすくらいに乱れた事は

脳に直接なんらかのダメージが生じた事じゃ

もしかしたら記憶が戻っとるかもしれん

そしてその記憶が戻っておったら

再び氷月の心が壊れてしまうのじゃろうと

その時のために覚悟しとけと言う意味じゃろう

柳生「幸村君達に連絡を入れてきます」

柳生はそう言って病室から出て行った

反対側に座っておる奈々は氷月の頭を優しく撫でておった

水島「氷月、大丈夫だよ。戻ってきて。氷月と行きたい所いっぱいあるから、一緒に行こうよ」

優しく声を掛けておる

仁「氷月。お前さんが戻ってきてくれたら俺はそれ以上を望まん。だから、早く...」

早く、俺の元へ帰って来てくれんか?

残りの言葉は声に出しておらず、奈々にも聞こえておらんようじゃ

俺は氷月が生きておったらええんじゃ

それ以上は望んじゃいかん

優しい氷月は俺の望みをそれ以上に叶えるからじゃ

帰ってきてほしい

一緒に学校へ行って、一緒に授業をサボって、一緒に昼飯を食って、一緒に家へ帰って

それだけでええんじゃ

それだけを今は俺は望んでおる

明日からは午後の試合じゃ

午前から向こうに居らないかん

目を覚ました時に優勝杯を見せちゃる

絶対にお前さんのために優勝をしたるき

待ってろよ、氷月
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