• テキストサイズ

ゲームはお好き?

第21章 夕方


『え...』

忍足君から言われた事で考えに浸っていた所を現実世界に戻ってきた

顔を上げて忍足君を見ると無表情でこちらを見ている

目の奥では心配そうなそんな感じの物が伝わってくる

忍「何か思い出したんやろ、氷月」

『......』

忍「俺に言えへん事か」

この人達は優し過ぎる、だから怖い

何処まで信用してもいいのか頼っていいのかわからない

忍「仁王を呼んで来るわ」

『!ダメです』

忍「大丈夫や、今日アイツは試合あらへんで」

『それでもです!』

忍「必死やな、自分」

微笑んだ顔が優しすぎて

忍「...仁王からなんや。氷月に何か異変があったら伝えてくれって頼まれたんや」

『仁王君が?』

忍「そうや、それだけ自分は愛されとるんや。自分はもっと自分の事を大切にしいや」

忍足君はそれらを言い残して病室を後にしてった

多分、仁王君と連絡を取っているのだろう

胸がズキズキする

罪悪感から来るものか

先程感じた感覚に付いて行けないのか

わからない感情が私を飲み込んでいく

底なし沼に沈んでゆくような感覚に

ゆっくりゆっくりと足から順に沈んでいく

両足、腹、両手、両腕、胸、両肩、首、顔、頭

全てが飲み込まれ息が出来ずに苦しい

だけど死ぬ事は許されないため

その苦しみは永遠に味わう事になるような

1人で抜け出す事は出来ず、もがき、足掻き

それでも誰にも救われない

靴を脱いでベットに倒れる

白かった天井も赤くなって行く

時間だ経つに連れドンドン濃くなって行く

何も音が出ない環境の中

1つだけ煩い物があった

『止めたい...』

この煩い物を止めたら楽になれるだろう

だけどきっと彼らに会えなくなるであろう

ベットに寝転がっているだけなのに自然と瞼は落ちて行き

意識は現実世界から切り離された

?「氷月...」

優しい声が聞こえた、一番聞きたかった声が聞こえた

瞼を上げると赤に少しだけ染まった銀色の髪が見えた

とても心配そうな表情が私の瞳を捉えていた

『仁王君...』

仁「おん」

名前を呼べば返事をしてくれる

優しい彼が私の左手を包んでいた

仁「忍足から連絡があってすぐに此処に来たんじゃ」

ああ、やっぱり忍足君は連絡しちゃったんだ

仁「何があったんじゃ?」
/ 321ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp