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ゲームはお好き?

第21章 夕方


『信号機...』

赤いランプを付けた背の高い信号機が

ロビーのガラスの自動ドアから見えた

瞬きをしている間に青になり、車が動き出す

のはいいが

青から黄色に変わり黄色から赤に変わった瞬間

『...!』

胸やけのような、何かが詰まったような感覚に陥った

胸騒ぎと言うのか、何かモヤモヤするとでも言うのか

胸の中が急にざわついて気持ち悪い

右手で胸元の服を掴んで擦り自身の肌を熱くする

かゆい訳でもないのに何かしないと嫌な感じが込み上げる

『!』

フラッシュバックのような物が頭を過った

鐘のなる音が聞こえ

真っ青な満月が次第に真っ赤に変わって行く映像が流れる

その部屋の次第に青から赤へと変わり

〈ゲームの始まりだ。此処はもう異空間、戦場。私達は何も知らない学校内で七不思議を解決する〉

『誰の、言葉...?』

ハッキリと言葉が聞こえた

それは私の声に似ていた冷たく重い言葉

突き放すような何処か1人にしてくれと言っているような

心臓が激しく脈打ち、視界もほんの少しだけ霞んで見える

早く病室に戻らないと行けないと思っても

足は床に縫いつけられたかのように前に踏み出す事も出来ない

此処は以外と目立たない所なので人に見つかりにくい死角の場所となっている

頭にキィーと甲高い不快音が響き両目を細める

?「氷月?」

『!』

急に声を掛けられた事により、体が大きく反応してしまった

振り返ると

侑「?」

『忍足、君?』

侑「せやけど?」

穏やかな表情を保ったままの忍足君が後ろに立っていた

侑「...病室に行こか」

『...はい』

忍足君に声を掛けて貰った事によりフラッシュバックから逃れる事が出来た

足を揃えて病室の扉を開けると

侑「?」

自分が使っていた病室なのに中々入る事が出来ない

怖い、苦しい、帰りたい、入りたくない

そんな言葉が私を支配していく

侑「氷月、入らなあかんで。此処も目立つで」

『?』

周りを見ると看護師さんや他の患者さんがこちらを見ていた

目立つのはもっと嫌だから病室に入った

ベットに座って先程の事を考える

真っ青な満月が真っ赤に染まった時に聞こえた

あの冷たい重い突き放すような言葉

それを考えるだけ脈を打つ速さが増していく

侑「何を思い出したん?」
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