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第3章 信用


仁王側

水島「なんで避けるの!?」

『......』

奈々の表情はいつもと違い真剣に怒っておった

それを涼しい目で見る氷月はまるで別人のようじゃった

何かを悟った感じの表情

『ごめん...』

最後に一言皆に言えば氷月は昇降口へと歩き出す

だれも止める者はおらん

それは、今目の前におる人物が本物の氷月なのか疑うように

先ほどまでとは雰囲気も纏っておるオーラも違ったからじゃ

俺でさえも一瞬疑ってしまったくらいに

その背中は儚く、脆く、寂しそうじゃった

氷月に抱き着こうとして避けられた奈々は

起き上がり声を殺して泣いておる

幸村とブンちゃんが隣でしゃがみ

赤也が背中をさすっておる

皆の顔色は最悪に染まっておった

仁「すまん、行くわ」

俺も最後に一声掛けてその場から逃げ出すように昇降口へと向かう

柳生「私も行きます」

階段に着いた時、柳生に追いつかれた

一緒に階段を下りる、言葉は交わさない

いや、交わせなかった

靴を履き替えて正門を見ると

正門の前で空を見上げて立っておった

俺と柳生は気づかれないように後ろから静かに近寄った

『私はまた、奪われるのかな?』

柳生「!」

仁「!」

静かに近づいておったはずじゃった

後、10歩の距離が長く感じてしまう

『負けたから、奪われるのかな?取り戻せないのかな?』

空に向かって言っておるのに

その問いかけは俺達にされておるようじゃった

『家族を失った、友達を失った、信頼を失った、食欲を失った、視界を失った、そして日常を失った。後何を失うんだろうね』

柳生「どう言う意味ですか...」

柳生の声は掠れておる

仁「氷月...」

俺の声も同じじゃった

『それを知っているのは、生きている生き物かな?』

氷月は俺達に振り返り今までにない儚い微笑みを持ち出す

俺はそれを見て胸が苦しくなった

足は動き出し、氷月の手を乱暴に取って家に向かう

仁「すまん、柳生」

最後にパートナーに一声掛けて学校から出る

家に向かっている最中は一言も互いに喋らんかった

苦しい、痛い、辛い、それらの感情が俺の心を奪っていく

飲み込まれる前に家にたどり着き

俺達は互いの部屋に入った
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