第20章 残留思念
朝倉の目的は1つ、氷月を殺しに来た事じゃ
今まで築き上げたカウンセラーの実績を下げられ
「ゲーム」と言う名の人殺しでの憂さ晴らしにも失敗
そして最終的に自らの手で氷月を殺そうとしておる
例え実の親であろうとこんな話を信じたくもないじゃろう
じゃが、現実は甘くなか
朝「ウフフ、公也。私の最後はどうなったか知ってるかしら?」
急に微笑みだした朝倉は廊下からやって来た公也に尋ねておる
公「上に結果報告を出しても信用されず、何度も押し返された。有名だった母さんの信用は消えて行き、最終的には人物の存在すらも消された」
忍「崖から飛び降りての自殺。近所からは精神が崩壊しとったって話やったからな」
朝「あら、そんな結末だったのね。あの子のせいで、私は汚名を貰うどころか存在の末梢よ?」
自分は悲劇のヒロインを気取っておるようじゃ
片手が少しづつ熱くなって居る
氷月が俺の手を強く強く握り締めておるからじゃ
此処から離れないでほしい、何処にも行かないでほしい
そんな声が聞こえてくるようじゃ
寝ておるにも関わらず
体は強張り小刻みに震え、さらに寝息が荒くなって居る
額から脂汗が滲み出ており、表情も恐怖に囚われておる
朝「あの子1人のせいで私の幸せが全て奪われたのよ?」
公「だからと言って母さんが他人から奪ってはいけないよ」
朝「公也、あの子の味方をするの?」
公「違うよ。母さんの行った行為は人の陣地を超えている。幽霊になってもそれはやってはいけない事。幽霊には幽霊にの約束事があるんだよ」
朝「私はあの子から「命」を奪うまでは引き下がらないわ」
公「どうしても?」
朝「そうよ」
狂気に満ちた満笑の笑みは恐怖を植え付けるには十分過ぎた
氷月の命を奪うまではこの世に存在し続ける
公「なら俺は人から外れた母さんを封印するためにこっちにつくよ」
朝「本当にそれでいいのね?」
公「俺、決めた事はやり通す主義になったんだ。それに氷月には借りがあるからな」
交通事故で地縛霊と化した長坂公也を救ったのは
たまたま通りがかった白川氷月と言う一般女子高生が救ったと言っておったな
じゃが、地縛霊から解放された公也は借りを返すために
この世に留まると言う