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第20章 残留思念


皆がいると心が休まり、気を張っている必要もなくなる

切「手加減してくださいッスよ!副部長!」

真「たわけっ!真剣勝負を挑んできた者に手加減など言語両断っ!」

水島「弦一郎、今平成だよ?」

真「知っとるわっ!」

テニスの事で話題が尽きない

今日起こった事を教えてくれる、こんなに楽しい話はない

話には参加出来ないものの聞いていると安心して眠気が襲ってくる

それでも皆疲れている中、会いに来てくれるのだから

眠ってしまうには失礼きまわりないと頑張って起きている

他人から見れば楽しい会話は続いて行く

これを聞いているだけで心の底から安心が湧き不安が消えて行く

『っ...』

頭に直接、甲高い音が鳴り響く

キィーっと最初は小さい音で

仁「氷月?」

次第に音量が増していくと、次に声が聞こえた

それは知っている声であった

低く執念のこもった女性の声が

ただひたすら「殺す、殺す、殺す」と何度も言って

声がハッキリと聞こえ始めるようになれば

『ッ!』

かなり強い頭痛を覚え左手を額に持っていく

左目を隠すように当てれば声の音量も増していき

最後には女性の声は叫ぶようにして大きくなった

皆が何かを言っているがそれが耳に入る事がなかった

霞む右目で皆の顔を見れば皆がベットに近づいており

私の様子を見ている

痛みで自然と息をするのを忘れ

吐き出す途中であった息は喉に留まると

咳と言う形で息を吐く

酸素を欲求する肺に従い息を吸うと

それを吐き出す途中であった息は再び喉に留まり咳が出る

暫くして頭痛が薄れると段々と声も小さくなり

キィーとなっていた甲高い不快な音も消えて行った

ズキズキと痛む頭、バクバクと鳴る心臓、チラチラ見える視界、ピリピリと痛む腕と脇腹

ハァハァと肩で息をして落ち付いてくると

ベットに寄っていた皆が安堵の息を零し始める

霞みかかった視界からそれらが取れると

左手を先程の位置に戻して大きく深呼吸を何度もする

心の中では「焦るな」「落ち着け」と自分に言い聞かせる

完全に落ち着きを取り戻す頃には

皆は心配な表情をしながらも大人しく椅子に座っていた

私が落ち着くのを待ってくれたのかと

なんだか自溺れな事を思ってしまう

おかしな自分が此処に居た
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