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第19章 終わらない


『ん...』

シーツの擦れる音が聞こえ俺達2人は椅子から立ち上がり

氷月の顔を覗き込んだ

ゆっくりと重い瞼が持ち上がると半目で俺達を見ておった

点滴を打たれておる左腕を自分の額に乗っけると

大きく息を吸ってゆっくりと吐き出しておるようじゃ

水島「氷月?」

奈々が優しく氷月の名を呼ぶと

虚ろな瞳で奈々の顔を捉えた

『...ず...』

水島「え?」

酷く掠れた声は俺達に届かない

それでも氷月は何かを求めておるようじゃ

『..ず、ほ..い....』

掠れた声から紡ぎだされる言葉を何度も聞く

『み、ずが...ほし、い...』

水島「水!水なんだね氷月!待ってて!」

水が欲しいと言っておったのか

俺よりも先に気づいた奈々は透明なガラスのコップに水を注いだ

自力で上体を起こそうとしておるが、脇腹が相当痛いのか

半分くらいまで起き上がると顔をしかめ動作が止まった

痛み止めの効果も切れたようじゃな

水が注がれたコップを両手でしっかりと運んでくる奈々

俺はそれを見て氷月の背中に腕を通し、後ろから支える

仁「俺が支えたるき。ゆっくり飲みんしゃい」

奈々からコップを受け取って口元に持っていく

少し口を開けたのを確認すればコップをほんの少しだけ傾け

氷月の口に注いでいく

ゴクンと喉で音を鳴らし、喉仏を上下に揺らしていく

コップの中身を全て飲み干して奈々に渡す

水島「まだ欲しい?」

奈々が訪ねれば氷月は首を横に振る

背中を支えておった腕を抜き取り、ベットに倒していく

氷月は一息つくと

苦しい顔をしながらも眠りに入ったようじゃ

水島「なんか安心しちゃった」

仁「俺もじゃき」

布団を上まで掛けて、左腕を先程と同じ位置に戻す

水島「コップを洗ってくるね」

笑顔で俺に伝えれば

奈々はコップを片手に病室から出て行った

氷月の目に掛かっておる前髪を直して、俺も椅子に座る

白い包帯が巻かれた自身の腕を見ると

そこまで酷くはないんじゃなかと思ってしまう俺が居った
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