• テキストサイズ

ゲームはお好き?

第19章 終わらない


氷月の息は段々と整ってきておった

『大、丈夫です。仁王君は?』

仁「俺は運動部じゃき。このくらいは平気じゃ」

目の前でしゃがみ氷月を見る

額には脂汗が浮かんでおり、顔色も良くない

これ以上はいかんと思いながらも

キィイィィィ.......

何処かの扉が開いた

もしやと思い手すりから下を覗くと

そこにはナイフを持った先程の看護師が立っておった

そして、ソイツは顔を見上げて居った

仁「!」

目が会ったと思い、急いで視線を外すが

階段を上る音が聞こえてくる

このままではマズい

『仁王君、行きましょう』

仁「じゃが、お前さんは...」

『此処で死ぬよりかはマシです』

立って俺の手を掴んでおる氷月は真剣な眼差しで言う

『走りましょう、捕まってしまうよりかはいいです』

仁「じゃが」

『行きましょう、かなり近いです』

氷月に手を掴まれて上へ上へと走って行く

手すりの間から下を見るとソイツはまだ追ってきておるようじゃ

最上階、屋上の扉を開けて周りを見る

物干しざおが何本も立って居るが何もかかっとらん

屋上の扉を閉めて何処か隠れる場所がないかと周りを見る

『いっ、たっ...!』

隣に居った氷月が地面に膝をついて脇腹を強く押さえて居る

仁「傷口が開いたんか!」

『ッ...!』

痛みに顔を歪める氷月は何も喋れんようじゃ

先程よりも肩で大きく荒い息をしておる

「見ぃーつけた」

「『!』」

知らんうちに開いておった扉からは

狂気に満ちた顔でこちらを見るナイフを持った看護師がおった

氷月は動けんし、どうしたら

そんな事を考えておると、俺の右腕が急に熱くなる

仁「!」

看護師はナイフを突き出してこちらに走ってくる

反応に遅れた俺は右腕を掠め、横に避けてしまう

滴った俺の血から赤い細い糸が俺を巻き付け

仁「動けんっ!」

俺はそのまま地面に倒れるのじゃった

看護師はこちらを見てフッと鼻で笑った後

ゆっくりと氷月に近づいて行く

仁「氷月っ!逃げんしゃいっ!!」

声を出し氷月に届いたとしても

痛みで動けん氷月にとってはなんの意味もなさんかった

赤い糸をどうにかしようと足掻いても取れる気配はなかった
/ 321ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp