第18章 記憶
『いっ...!』
氷月は一気に顔をしかめた
それに気づかん奈々は氷月を強く抱きしめる
水島「また一緒に出かけようね」
氷月の胸の中で言うが、氷月はまるで聞こえとらんようじゃ
というか、耳に入って居らんようじゃ
仁「!」
俺は奈々の後ろに立って、引っぺがす
それに怒った奈々は俺を睨んだ
水島「何するのよ雅治!」
仁「お前さん、氷月を見てみんしゃい」
左手で右腕を強く押さえて肩で息をしておる
切「氷月先輩、大丈夫ッスか!?」
『あ、うん。大丈夫、だよ』
痛みに顔をしかめながら途切れ途切れに言う
仁「奈々が抱き着いた時にベットが大きく傾いたんじゃ。氷月の腕は支えが無くなると痛みが直に響くんじゃよ」
水島「あっ!ご、ごめんなさいっ!」
『いえ、大丈夫ですから』
右腕を強く押さえながらも表情だけは微笑む
皆に心配を掛けたくないんじゃろうな
真「奈々はもう少し視野を広げるべきだな」
幸「フフフ、視野を広げる特訓なんてあるかな?」
柳「出来なくもないが、時間が大幅に掛かるな」
水島「え、する前提?」
柳生「諦めてください、奈々さん」
ジャ「まあ、頑張れ」
丸「応援はしとくぜぃ」
切「ファイトッス!」
いつものような会話から話が弾む
氷月も痛みが薄れたのか、腕から静かに手をどける
そのまま会話が続けば、忍足先生が入ってくる
忍「随分賑わっとるな」
『みたいですね』
それに対して氷月が柔らかな微笑みで返す
仁「何しにきたんじゃ?」
忍「俺も混ぜて貰いに」
切「寂しいんッスね!」
忍「まあ、そんな感じや」
『?、誰か待っているのではないのですか?』
忍「...誰だ、コイツに変なの覚えさせたのは?」
『??』
丸「誰を待ってるんだよぃ」
忍「はぁ、俺の着替えを待っとるんや。時間になっても来うへんからな、暇になって様子を見にきたんや」
ジャ「他の仕事とかないのですか?」
忍「俺が担当しとる患者は2人だけや」
あの時話してくれた昏睡状態のヤツじゃろうな
そしてもう1人が氷月なんやろうな