第18章 記憶
『あなたが仁王君ですか?』
柳生を見ながら訪ねて居る
柳生「いえ、私は柳生比呂士です」
『......』
氷月は見つめる、柳生の事を
柳生は焦る、氷月の視線に
しばらく睨みあうが、折れたのは俺達の方じゃった
柳生に目で合図して俺はカツラと眼鏡をとる
『クス』
俺達の変装が解けた瞬間に氷月から笑みが零れた
唖然と見て居る他のヤツらは、俺達が入れ替わっておったのをわからんかったらしい
仁「なんでわかったんじゃ?」
『目です』
柳生「目、ですか?」
『はい』
俺と柳生は場所を交代して氷月に聞く
『仁王君の目は奥に炎が灯っています。けど、皆さんの目は炎ではなく、強い光が宿っていました』
本質を見抜く氷月の目は、俺達が一番怖がっておる所じゃ
嘘をついてもバレる、隠し事もバレる、不安もバレる
そんな本質を見抜く目を
俺達は恐怖しながらも頼って居る
誰にも話せん不安な相談に乗ってくれるからじゃ
柳「本質を見抜く目は、健在のようだな」
丸「うへぇ~、マジかよぃ...」
『?』
仁「気にせんでええ」
ブンちゃんの発言に頭を傾げる氷月はわかっておらんようじゃ
その辺も無意識じゃったんか
隙がないぜよ
水島「あのね、氷月」
『はい』
奈々が氷月の名前を呼んで
俺とは反対の隣に行く
水島「私の事、覚えてない?」
『!』
ピクッと体が少しだけ跳ねる
氷月は奈々を見つめたまま動かん
昨日の俺を見た時を一緒じゃ
そして、首を横に振る
『覚えていません。水島さんの事も、皆さんの事も。ごめんなさい』
先程とは違った暗く思い空気
氷月本人も苦しそうじゃ
『でも』
水島「?」
『なんでだろうね。皆さんの事、覚えてないのに、知ってる気がするのは』
「「!!」」
『初めてあった気がしない。まるで最近まで一緒に過ごしてきたような感じがします』
水島「氷月...」
『皆さんの名前を聞いた時も、懐かしい感じがしました』
水島「氷月っ!」
奈々は氷月の名前を呼びながら思いっきり飛びついた