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ゲームはお好き?

第17章 彼女


10時を過ぎたくらいにピクッと片手が反応した

その後、シーツの擦れる音がすれば

氷月が目を覚ました

寝ぼけた顔で辺りを見渡して俺を捕らえる

仁「おはようさん」

『おはようございます』

寝起きの少し掠れた声で挨拶を返してくる

上体を起こして時計と窓の外しばらく見ると

頬がほんの少しだけ赤くなり、俺を見つめた

『あの仁王君。出来れば離して欲しいんですけど』

恥ずかしそうに自身の左手を見る氷月

知らん男から繋がれとるのは恥ずかしいか

仁「ん?あー、そうじゃった。すまんな」

左手を離すと少しだけ目を擦る

左手を自分の足の上に置くと

次の視線は自身の右腕を見ておった

何故、包帯が巻かれているのか気になっておるんじゃろう

自力で右腕をベットから離すと、顔をしかめた

支えがなくなった瞬間に痛みが押し寄せたんじゃろう

そのまま無理して持ち上げようとする右腕を

俺はベットに身を乗り出して片手で止める

氷月の顔を覗き込むみながら

仁「無理したらいかん。治るもんも治らんようになるぜよ」

そう言うと

氷月は間を置いてから優しくベットの上に右腕を置いた

それを確認すると俺はホッとして椅子に座った

そこから色々な氷月の話をした

家では勉強をしており、学校ではテスト前の先生になっており

一緒に出掛ければ自分よりも俺を思ってくれる事を

それでも氷月は違う風に捉えており

中々、俺が思っておる事が伝わらんかった

扉がノックされ看護師が昼食のトレーを持ってきた

扉でそれを受け取って氷月の前に置いておく

氷月は確か、食えんはずじゃったが

そんな事を思って居ると氷月は味噌汁の具のなめこを口に放り込んだ

仁「!」

細かく噛んで飲み込むと、俺を見て負おった

『?』

俺の表情がよっぽど不思議なのか

『ウフフ』

氷月は少しだけ笑って見せた

綺麗な笑顔じゃ、前のような儚さも影もない純粋な笑みじゃ

仁「お前さん、食べれるのか?」

『?はい』

何を聞いておるのか俺もわからんかったが

それよりも物を食べれるほうが嬉しかった

箸を置いて、トレーに乗っておるお茶を飲み干すと

その後、氷月が箸を持つ事はなかったので返しに行った
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