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ゲームはお好き?

第17章 彼女


仁「落ちはわかるとして、何で勝負したんじゃ」

忍「ん?これや」

忍足先生は得意げな微笑みで俺に拳を突き出した

仁「?じゃんけんか」

忍「よーわかったな。俺、こう見えて運ゲーには強いんや」

そう言うと前に向き直る

まさか、あの氷月がじゃんけん1つで警戒心を解いたんか

じゃがアイツらのように約束を破りたくなかったんやろうな

エレベーターが止まったのは氷月の病室のある階やった

忍「俺が許可すれば、このくらいの早い時間は面会出来るんや。ほれ、いってやれ」

仁「あんがと」

忍「ええってええって、男に言われてもむず痒いわ」

苦笑いをする忍足先生に背を向けて氷月の病室へと向かう

扉をノックして中に入る

カーテンは閉まっており、氷月もぐっすり眠っとる

昨日1日で自分の状態を知ったんや、疲れたんじゃろうな

俺は定番の位置に座り氷月の左手を包む

外にさらされておるから少しばかり冷たい

空いておる片手で頭を撫でると

それに反応してか顔を一度こちらに向けた

その瞬間にドキッとしてしまい、不意打ちを食らった

顔は少し熱を持ち、涼しい時間帯なのに汗が出てくる

仁「寝ておっても氷月じゃな」

無神経な程、俺に不意打ちを食らわすのは氷月の得意分野じゃ

家でも学校でも、今までよく心臓が持ったもんじゃ

細い左腕に痛々しく付いておる点滴

細い右腕には真っ白な包帯が巻かれておる

それを見るだけで胸が締め付けられ息苦しさを感じる

6時半となり2人の看護師と忍足先生が入ってくる

忍「なんや、まだ寝とるんか」

「どうしますか?」

忍「そのまま寝せたほうがええ。疲れとるからな」

「では包帯と点滴を付け替えます」

1人の看護師は食事を返しに行き

もう1人の看護師は点滴と右腕の包帯を取り換えた

そこから見えた生々しい傷が俺を一気に不安へと突き落とす

もしかしたら、二度と使えんくなるかもしれない右腕

刺されてから時間が経っておるために傷口が中々塞がらんのじゃ

それは左脇腹も一緒じゃった

包帯を取り換えた看護師はその場を後にする

そして、忍足先生と2人で雑談しとると

病院用の携帯がなって忍足先生は退場する

太陽も上り切り辺りはすっかり明るくなった
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