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第17章 彼女


忍足先生が別室で先程の女性に説明している最中に

こちらは腕に巻かれている包帯や脇腹のガーゼを変えてもらう

最後に点滴を変えていけば看護師さんはその場を立ち去った

時計を眺めて5分くらいしたところで先程の女性が帰ってきた

女性は今にも泣きそうな表情をしながらも

色々な事を教えてくれた

まず、私の家族や親戚は全員他界してしまい

今は「雅治」と言う同級生の家で衣食住をしている

そしてその「雅治」と言う人物の母親は目の前にいると

今は高校3年生で夏休みに入った所だと言う

そして先程、その母親は「雅治」と言う人物の父親を呼んだという

時計が午後4時を示すと少し汚らしい格好で入ってくる男性

母「あなた...」

父「ああ」

男性の表情も優れず、私を見るだけだった

父「氷月...、俺の事覚えているか?」

静かに言う父親、だが全く記憶にないのだ

少しの間をおいてから首を横に振った

父「そうか、ゆっくり思い出せばいい。慌てるなよ」

父親は私の頭を少しだけ撫でると

父「一旦帰って着替えてくる」

母「わかりました」

父「雅治には」

母「言ってないわ。大会に集中してほしいからね」

父「...雅治が帰ってきたらまた来る」

母「はい」

父親は私に手を挙げて病室を後にした

その後、母親が「氷月」の思い出話をしていった

親が目の前で死んだ事により食事が出来ない体だとか

右目の視力が悪いとか

前は東京に住んでいたとか

母親が知っている範囲を私に教えてくれた

母親もその後、一度帰り夕食の準備をしてくるそうだ

帰った直後に忍足先生が食事の乗ったプレートを持ってくる

忍「食べれるか?」

なまりの入った方言、これ関西弁だと言う

母親がついでに教えてくれた

なんとして傷口を塞がないといけないし

少しでも食べないと申し訳ないと思い

首を縦に振って食事に手を付けた

ご飯に味噌汁、メインは豆腐ハンバーグ

この時期には少し熱いお茶があった

クーラーの効いたこの病室は寒いため、最初に味噌汁を口にした

味は少しだけ薄いが、体が温まるのを感じた

味噌汁の入った茶碗をおいて、左手で箸を持つ

中身の具はわかめ豆腐だったのでそれを掴んで口元に持っていく

何故か口に入れるのが怖くなり途中で手が止まってしまう
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