• テキストサイズ

ゲームはお好き?

第17章 彼女


白川側

重い瞼を開けると白い天井が出迎えてくれた

隣では規則正しい機械音が聞こえる

鼻や口からは自然と空気が入り込み

一定量が肺に溜まると、外へと放出される

空は薄暗く、時間が経つに連れ明るくなっていくようだ

体は動かせないのでただただ時間が過ぎて行くのを待つだけだ

朝日が完全に出た所で扉が開かれ誰かが中に入ってきた

バインダーと何かの液体を持ってきている女性だった

「あっ」

その人は私の顔を見るなり驚き、走って部屋を飛び出した

しばらくしてから方言を使う男性の人が現れ

口元にあったマスクを外される

男性と先程の女性の手を借りてベットごと上体を起こせば

上体に掛かっていた布団を下げられ、服の上から胸に何かがあたっていた

それが終わると男性は女性に頷く

先程とは違い慌てながらも歩いて出ていった

男性から説明を受けると

此処は神奈川県の総合病院だそうだ

そして男性は私の担当の忍足先生で

先程の女性は看護師さんだと言う

今まで何があったのか聞かれたが

...何も覚えていない、のだ

本当に何も

先生から名前を聞かれたがわからなくて、思い出せなくて

それを言うと忍足先生は苦い顔をして私の容体を教えてくれた

右腕が動かないのはナイフで刺された所が悪かったから

傷口が完全に塞いでから、何かとリハビリをしようと

脇腹の傷も深くまだ塞がっていないため、トイレ以外にベットから降りる事が禁止された

話を聞くのにも疲れた私はベットも元の角度に戻して貰い

再び眠った

その間に体についていた点滴以外の配線はとられたいた

扉がノックされたので目が覚めた

外に目をやれば青空が広がっている

上体を起こして扉の方を見れば

私服に身を包んだ女性が1人、目に涙を溜めてこちらに歩いて来る

「氷月...氷月...」

女性は私を腕に包んで何度も「氷月」と繰り返す

しばらく包まれていると女性は体を離して

私と一緒に目線まで腰を低くした

「氷月、私よ。雅治の母よ」

女性はそう言うが「雅治」とは誰だろうか

不思議とその単語を聞くと胸の内が温まった気がする

だけどそんなの覚えていないためキョトンとしたような表情をしていると

再び扉がノックされ忍足先生と看護師さんが入ってきた
/ 321ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp