第16章 脱出?
忍「あの時はちょうど精神科の医者が足らんくって、体の治療のためだけに出張してな。そのまま人数が揃うまでその場におったんや」
真「数合わせ、と言う所か」
忍「精神病院は好かれんからな」
苦笑しながら言う忍足先生
忍「まあ、今回はカウンセリングの心配はなさそうだな」
柳「ム、それは朝倉恵子と何か関係があるのですか?」
参謀の一言で忍足先生の表情は曇った
忍「なんで知っとるんや」
柳生「あちらでお会いしたので」
忍「成程な、執着心はすごいな」
切「?氷月先輩にッスか?」
忍「まあな。朝倉は自分の実力が足りないために真実に辿り付けんかったっと知っとるな」
丸「まあ」
忍「朝倉は結構有名なカウンセラーやったんや。実力も対応力もそこそこ持っとるな。だが、この子の事で上には叱れ、病院は移らされるわでな」
ジャ「じゃあ、氷月から真実を呼び起こそうとして」
忍「この子の事が解決出来れば上は認めてくれると思ってな、病院を移された後も来とったんや」
仁「どうしても上に認められたくて氷月に執着、か」
水島「氷月に無理やり催眠術をかけて、記憶とかの」
忍「そうや、そんである日容体が悪化して原因が朝倉にある事がわかり俺と数人の看護師以外はこの子の病室を変えて隠密にしとったんや」
忍足先生は立ち上がってパイプ椅子を閉じる
忍「どちらの刺し傷も深かった。脇腹の方はなんとかなるとして、右腕は一番酷いと全く機能しなくなる」
水島「そんな!」
奈々が座って居った椅子はガタンを後ろに倒れ
急にその場で立ち上がる
忍「一番酷い、とや。だが、前のようには出来ん事は確かや。ペンで文字を書く事も出来るかどうか、それは起きんとわからん」
水島「そん、な...」
忍「これだけで済んだのはええ方や。向こうで死んどるヤツよりも此処で息をしている方が絶対にマシや。俺は別の事をやらんといかんからな、此処で失礼するで」
忍足先生は先程合った場所にパイプ椅子を戻すと
そのまま病室を後にした
誰も何も言わないまま7時になり、皆は家に帰って行った
学校の連絡で何日か早いが明日を終業式にすると言って居った
本来ならば来週から夏休みに入るのだが
「通り魔」の事があり、休みを早めたようじゃ