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ゲームはお好き?

第15章 最後の決戦


先程の話が走馬灯のように思い出されていく

そして、3年前のゲームの彼らの無残な死体も

何度も、何度も、何度も、何度も、何度も

繰り返される

頭が焼けそうな程、その映像と音声を拒絶して

動かないはずの右腕が朝倉の持っていた5円玉にあたる

そこから意識は現実に戻ってくるのと同時に立ち上がり

扉に向かって走り出すが

朝「ダメよ」

『がっ!』

1歩を踏み出した瞬間に足を掛けられてうつ伏せになる

朝「全く、本当に往生際が悪いのね」

悪さをする子供を優しく叱るかのように言う

朝倉は足で私は半回転させて仰向けにする

恐怖で動かない、動けない体は朝倉に何も対抗出来ない

そして、朝倉は私の上にまたがってナイフの刃を下にした

私の視線はナイフの刃へと集中して離れなかった

朝「じゃあ、早く私の玩具になってね。氷月ちゃん」

朝倉は私の左脇腹にナイフを突き刺した

先程とは比べ物にならない衝撃的な痛みと、体の底から沸き起こる熱に

声を上げる事も出来ない喉

痛みと暑さと恐怖で呼吸をする事を忘れ

ただただその痛みに耐える事しか出来ない

ナイフの刃が見えないくらいに深く刺さった脇腹からは

溢れ出すほどの血液が床を濡らしていく

そして、それと同時に私から命が溢れていく

朝「じゃあ、さっきの続きでもしましょう?」

そう言って朝倉は先程弾いた5円玉を拾って

私の左側で正座をすると5円玉を振り出した

『あっ、がっ、やめっ、ろっ...!』

嫌な記憶ばかりが走馬灯のように蘇る

無残な同級生の死体、目の前で死んでいく両親、真実を言われた先程の会話

何度も頭の中で再生されては巻き戻され

私の精神を蝕んでいく

朝「どう?苦しい?悲しい?怖い?怒ってる?それとも、楽しいかしら?」

朝倉の質問なんて気にする事が出来ない

頭の中で流れるそれらを受け止めるだけでも精一杯なのに

朝「これで留めをさせるかしら?」

そう言った朝倉の言葉に反応するように場面が切り替わる

そこはある所の一室

目の前にはノートを片手に蝋燭に火を付ける朝倉の姿

『やめろ...!』

小さく掠れた、酷く震えた声が出た

そして、朝倉は言った

朝「今日も始めましょう」

『ああぁぁぁぁーーーー!!!!』

一番のトラウマである、記憶を呼び起こす催眠術の始まりだった
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