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第14章 6つ目


実「私が奪ったのは、あなたよ。氷月」

『ッ!』

満足げに笑う実里の表情はとても輝いている物だった

吊り上がった口は妖しく笑う表情に恐怖を感じさせるもの

殺気だけは来ないものの、私を殺しに来ている訳ではないのだろう

バクバクと今にも張り裂けるのではないかと思うくらいに脈打つ鼓動

運動もしていないのに苦しい荒い息遣い

実「あなたの器は此処よ。あなたは誰?」

『私は...私、は』

目の前の現実から何もかも背きたい

切「な、何言ってんすか。コイツ...」

ジャ「コイツは白川氷月だ」

仁「氷月、しっかりするんじゃ」

『私は、私は...!』

仁「っと!」

足から力が抜けて雅治に体を預ける

腕でしっかりと固定された自分の体

柳「ム、そう言う事か」

現実的に考える蓮二は遅れて気づいたようだ

柳「氷月、右目は見えているのか?」

『右、目。見え、てる...』

柳「そうか」

蓮二は静かに返せば、何か納得したような感じだ

河「でも、それは矛盾するんじゃないかな?」

菊「そうだニャ。実際白川さんは此処で生きてるニャ」

生き、てる...

違う、生きてなんかない、死んでるんだ、私は亡霊だ

『ハハ...』

そんな自分がおかしくなり、乾いた笑い声が聞こえる

この声が自分から発せられているなんて思ってもいなかったが

仁「氷月!気を確かに持つんじゃ!お前さんは此処におる!心臓も動いておるし、耳の聞こえとる!喉から声も出れば、左目も見えとるじゃろうっ!」

懸命に励まず雅治の言葉が私の心を抉っていく

深く深く、何度も、刺さる刺さる

『私は死んだ、私は亡霊、私は死人...』

「「!!」」

『そうか。今までの辻褄が重なったよ』

笑っていた足は力を取り戻し、雅治の腕から自身を解放する

目の前の4人は何かに満足したように青い炎となって消えていく

ビー玉を2つ落として

『私は死んだ。此処で死んだ。首を狩られて死んだ』

柳生「何を言って...」

振り返ってみれば驚愕の表情に染まっている

一歩一歩と下がり、彼らから距離を取る

私は死人、私は亡霊

この世に生きてはいけない存在

『だから4つ目に奪われたものは、私の体なんだよ』

私は今、どんな表情をしているのだろう?
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