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第12章 4つ目


仁「何するんじゃ」

『さあ?』

腕を捕まれそうな所を避けて扉の前に立つ

そこに立てばわかるかと思うが

しっかりとそこに何かが立っている

これは先程までに感じられなかった気配だ

4つ目で間違いないだろう

左手にお守りをしっかりと握りしめ、右手で扉を開ける

『!』

少し開けた隙間に肌色の手が扉を掴むと思いっきり扉を開けた

その手は私の首に向かって伸びてくる、が

「!!」

結界の力によってソイツは後ろに吹っ飛んで壁に強打した

持っておいて良かったよしみじみ思ってしまう自分が立っている

仁「大丈夫か!?」

『うん』

血相を変えて雅治が走って来た

先程吹っ飛んだ相手をしっかりと見れば白衣を着た女性の姿をしている

それを視界に入れた途端、私の心臓は跳ね上がった

ドクドクと次第に速さを増していく

ソイツの姿は見た事がある、ソイツの姿は見たくない

仁「氷月?どうしたんじゃ?」

雅治が隣に立って顔を覗いてくる

自然と体が強張り、足は床に縫い付けられたように動けない

少しずつ息が荒くなる

ソイツはそのそのと立ち上がると顔を上げてこちらを見る

茶色でウェーブの効いたセミロングの髪

右腕には花柄の可愛らしブレスレットを付け

肌は人間らしい薄い肌色

真っ黒な瞳は私を見つめ、表情は狂喜に溢れていた

私は、この人物が世界で一番嫌いだ

ソイツがこちらに1歩近づけば

私の足は自然と1歩後ずさる

『やめろ...来るな...』

口から零れた小さな本音

ソイツは楽しそうにこちらに近づく

仁「氷月!氷月!」

隣で呼ばれている声は遠く聞こえる

心臓は張り裂けるのではないかと思うくらいに強く速く脈打ち

肺の空気を入れ替えるのを忘れていた私は次第に苦しくなっていく

水島「氷月!」

ああ、奈々の声も皆の声も遠い

私はソイツに釘付けだった

目を離す事も出来ない

周りの声も聞こえないくらいに

ソイツは結界の近くに来るとゆっくりを手をのばす

まるでそこに壁があるのを知っているかのような感じに

結界に触れて小さな火花が飛び交う

仁「氷月!氷月!」

肩を揺さぶられて意識が雅治に集中すると

周りの声が聞こえてくる

『まさ、はる...』
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