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第12章 4つ目


仁「どうしたんじゃ!?」

『......』

言葉を文章にする事が出来ない

考えられないんだ、言葉が見つからない、見つけられない

それだけ思考は停止しており目の前の恐怖に完全に怯えたいた

私は自分を抱く

小刻みに震える冷えきった自分の体

煩いくらいに脈打つ鼓動

甲高い耳鳴り

荒々しい呼吸

今までに体験した事のない恐怖が私を襲う

仁「氷月、こっちを見んしゃい」

考えられない頭で雅治が話す

私はそれに従って雅治に焦点を合わせた

幸「仁王、氷月を連れて奥に行くんだ。カーテンをしっかり閉めて」

仁「わかったぜよ」

柳生「奈々さんは...」

水島「今回は此処に残るよ!氷月を虐めた奴は許さない!」

しっかりと耳に入ってくる皆の声に少しだけ安心感が戻ってくるが

それでもまだ足りないように震えは止まらない

仁「動くぜよ」

雅治に抱えられ、一番奥のベットに向かう

抱えられながら向うを見るとソイツはしっかりと私を見ていた

仁「氷月っ!」

『!』

仁「俺だけを見とるんじゃ。向うは大丈夫じゃ」

名前を呼ばれて雅治に視点を移す

やがて一番奥のベットにやってきた私は

雅治に丁寧に座らされ、カーテンをさっと閉めた

目の前でしゃがんで顔を覗き込んでくる

仁「とりあえず深呼吸じゃ」

何も言わない雅治が優しい

何も聞いてこない雅治が嬉しい

仁「ゆっくり吸って、ゆっくり吐くんじゃ」

言われた通りにしていけば苦しさが次第に消えていき

煩かった心臓は落ち着きを取り戻す

それでも寒い、体が寒い

『さ、むい...』

仁「そうか」

小さく呟いた声は雅治に届いたのか

前から抱きしめてくれた

あったかい

程よい甘さの香水が鼻をくすぐり、好きな人の胸は居心地が良い

体の震えが完全に止まった所で雅治は私から離れ顔を覗いてくる

仁「もう大丈夫か?」

『うん、ありがと』

仁「ん」

心配な表情をしていた雅治の表情が和らぎ

優しく微笑んでくれる

後ろにソイツがいるとは知っていても

皆がいる事に思い出すと、不思議を怖くなくなった

皆は向うで戦っている

でも、今回は力になれない

完全に無力だ

仁「お前さんは頑張った。頑張りすぎたんじゃ。もう少し頼ってくれ」

頼る、か
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