第11章 3つ目
白川側
焦っている
蓮二の言葉が頭の中で行き来する
私が何に焦っている?
わからない。彼らと付き合っていると不思議な感情が溢れてくる
そしてそんな彼らと付き合うと色々な感情がわかってくる
今わからないのは「焦る」と言う事だ
仁「氷月」
考えが纏まらずお腹にと背中が温まっていく
少しだけ圧迫感のあるお腹の部分には
テニス部にしてみれば細い腕が巻き付いていた
焦る、焦る、焦る
何に?何処に?
柳「お前は自分のせいで巻き込まれた俺達のために率先して行こうとしている。ある意味の罪滅ぼしをしたのだろう?」
『罪、滅ぼし...』
丸「俺、巻き込まれたなんて思ってないぜ」
切「そうッスよ先輩!逆に助けられるんじゃないかって思ってるッス!」
ジャ「いつでも俺達と解決してきただろ?」
柳生「そうですよ。今回も解決して行きましょう」
真「俺達はいつでも力になる」
幸「慌てて見過ごしたら、それこそ命取りになっちゃうよ」
水島「私頑張るし、氷月はも少し休んでいてよ」
背後からの言葉に温かみを感じる
今まで、こんなにも彼らの言葉が頼りになるとは思っていなかった
私は彼らに頼ってもいいのか?
仁「頼ってええんじゃよ」
『皆...』
頼りになる、だけどそれらの言葉は
私を惑わす甘すぎる毒
それに甘えた時、私は私でいられるのか
正直に言うと、人に頼るのが怖い
その人に甘えてしまい自分が何も出来なくなるのではないかと
そんなのになりたくないから、そんな事になりたくないから
私は今まで1人で頑張ってきた
彼らを助けていたのは私の気まぐれ
仁「俺達は散々助けられた、次は俺達の番じゃ」
甘い、甘い、甘い毒
そんな毒が私の中に注がれていく
受け入れてはいけないのに、拒むことが出来ない
彼らに甘えてもいいのか?
幸「俺達は迷惑だと思ってないよ。君の単独行動の方が迷惑だしね」
『......』
水島「氷月お願い!手伝わせてっ!」
必死に頼み込む奈々の声が聞こえる
単独行動の方が迷惑、か
精市も考えたね、これじゃ逃げれないじゃないか
『わかったよ』
仁「フッ...」
雅治が鼻で笑うと離れていく
振り返ってみてみると
皆の表情が優しかった