第11章 3つ目
幸「フフフ、氷月はずるいよね?」
微笑んで言う幸村に怪訝な表情で氷月を見る
『そうだね』
幸「肯定するんだ」
『否定出来ないだけだよ。おおよそだけど、自分達は隠しているのにどうしてわかるのかって事でしょ?』
幸「わかってるんだ」
『......』
視線を外す氷月の表情は苦しそうじゃ
柳「精市」
幸「わかってるよ」
少しだけ勝ち誇った笑みを零しながら奥へと向かう幸村
氷月に頭を下げ続けている2人は今でも腰を折っておる
『君達も別にいいよ。疑われる行為をしたのはこっちだから』
桃「でも」
菊「ん」
『いいんだ。あの時は誰だってしょうがないよ。君達は達也に優しかったからね。仲間思いのいい人達だって聞いたし』
桃「それでもすいませんでした」
菊「悪かったニャ」
顔を上げて氷月に謝る姿勢は変わらんかった
『この話は終わりだよ。早く此処から出ないとね』
氷月は2人に微笑む
2人も微笑み返して元の位置に戻っていく
そして
『離して』
仁「嫌じゃ」
立ち上がろとする氷月を無理やり止める
どうしても行きたいそうじゃな
水島「わ、私も行くっ!」
「「!!」」
奈々の発言で皆の視線が飛び交う
真「本気で言ってるのか?」
水島「私だけ何も出来ないのは嫌だし」
柳生「そう言えば、奈々さん中学では吹奏楽部に所属していたと聞きましたね」
『同情ならやめた方がいいよ。闇の飲み込まれるからね』
いつの間にかほどけておった俺の手
氷月は立ち上がって扉に向かう
反七不思議もそれを見守る、何も手を出してこんようじゃ
これ中立か
不「待って」
扉に手を掛ける氷月を止める不二
その表情は何を企んでおるのかさっぱりわからん
俺はベットから立ち上がりゆっくりと2人に近づく
『何?』
不「協力しないの?」
『......』
柳「氷月。俺達にとってお前は重要な人物だ。それは攻略のためではなく大切な仲間としてだ。今のお前は焦っている。違うか?」
『!』
小さな体がピクッと反応する
扉に掛けていた手を下ろし不二がその腕を解放する
焦っておる
それは誰が見てもわかる事じゃ