• テキストサイズ

【HQ】及川徹は恋をする

第2章 走りはじめる









「おっせえんだよ!クソ川!!」





部室にはいってすぐに岩ちゃんからの喝が飛んできた。俺はさっきのなまえとのやり取りのせいでスッキリしないまま、ロッカーに手をかける。何も言い返さない俺を不思議に感じたのか、岩ちゃんが「おい」と声をかけてきた。



「どうした」

「あのさー、岩ちゃんさー、俺、彼女できた」

「はぁ!?」

「中学の、マネージャー。覚えてる?なまえって子」

「あー、いたいた」




俺は着替えながらも、岩ちゃんに一部始終を話した。なぜかこの高校に来ていることから、俺が飛雄への当てつけのつもりで彼女に告白したところまで。話が長かったせいで途中から生返事だったが、体育館へ移動しながらやっと感想を述べた。




「おまえ、本当に性格わりいな」

「ひどいよ、岩ちゃん。でも否定はしない!」

「…もう影山にフラれたんじゃねえの。だから別々の高校いったんだろ」





あーそれは、あるかも。そんで忘れようとして俺と付き合うとか?それこそ飛雄への当てつけか。うーん、もしかして俺と同じ目的ってことかな。


なまえが俺の告白を受けた理由をあれこれ考えてみたが、そもそも大して気にすることもないかと気付く。俺だって、ただの気まぐれだし。



「よーし、次に飛雄と会うまでになまえちゃんメロメロにして、嫌がらせしよう」




恋人ではないにしろ、大事な幼馴染みが及川さんに取られたらさぞ嫌だろう。にやりと笑みをこぼすと、岩ちゃんからはっきりとした軽蔑の目で見られた。…いいもんね、別に。









/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp