第10章 ラストチャンスを願う
「あーむかつくなー!メールしとこ!!」
携帯を取り出し、試合には必ず来いと一言打って送りつけた。あの子は普段超がつくほど素直でいけしゃあしゃあと物をいうくせに、恋愛に対してはなんて奥手なんだろう。長年一緒にいたなら、告白くらいしてしまえばなよかったのに。なんでしつこいくらい片思いをし続けるのか。全く理解できない。
このまま寝る気にもならないので岩ちゃんにでも電話しようかと思ったが、やめた。俺は釈然としない気持ちを抱えたまま、携帯ディスプレイを見つめていた。返事は来ないだろう。期待もしていない。彼女のことも理解不能だが、こんなにモヤモヤする自分の心も理解不能だ。本当に試合に来て欲しいと思っているのかすら、わからなかった。俺は一体この先、どうしたいんだろう。
答えなんかでないまま、俺は家路を辿った。