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【HQ】及川徹は恋をする

第9章 サヨナラの手をふる





「及川さん、私、あんなに飛雄のこと大事に思ってたのに、何もしてあげられなかったんです。」

「……。」

「どうすればいいのかわからなくって、諦めちゃったんですよ」





及川さんだって後輩の噂は聞いていただろう。…最後の大会のことだって。あんなことがあっても私は彼が青葉城西に進学してくれることを信じて、ここを選んだ。というかもう、どうでもよかった。さすがに追いかける勇気もなかったし。


卒業以来、連絡もとってない。
今でも好きだって思う。でも今さら、どんな顔して会えばいいのか。







「……すいません、私ちょっと自暴自棄で、及川さんの告白を受けたみたいなところもありましたが。及川さんだって、嘘ですよね?」

「…なにが?」

「私のこと気になってたとか言ってましたけど、そんな素振り一度もなかったですよね?さすがにわかります。」






及川さんが静かに眉根を寄せた。
図星だろうな、私は小さく息を吐く。この人がどういうつもりで私に告白したのかはわからないけど、ただ興味本意なんじゃないかなと思ってた。そんで私だって、中学の思い出や罪悪感から気が紛れるものなら何でもよかった。



…でも、及川さんと一緒にいると、少しだけ勘違いしそうになった。今日みたいに突然、思いもよらない行動にでるし、時々本当に優しい顔をするもんだから。









「わかれましょうか」









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