第7章 恋を知る
「影山のところと、やるぞ」
練習前、岩ちゃんとストレッチをしているところにふと監督がやってきた。なんのこと、なんてとぼけるつもりはない。例の練習試合のことだ。相手が決まったらしい。しかもよりにもよって、
「烏野高校、でしたっけ」
「影山、出るんですか?」
「そうだ。影山をレギュラーとしてだすように条件を出した。お前も、それまでに足治しとけよ」
「だってよ。」
「いだだ!岩ちゃん、痛い!」
飛雄ちゃんかぁ。薄々感づいてはいたが、やはりそうなったか。どうせ同じ地区なのだから、嫌でもいずれ戦うことになる。監督だってそうなる前に、噂の天才を見ておきたいんだろう。
「……。」
「おい、何考えてるんだよ」
「別に…」
「楽しみだな」
岩ちゃんが、本気なのか適当なのかよくわからない声色で述べた。案外早く再会のときは訪れたものだ。あいつのあの小生意気な目を思いだす。同時に、よく似ている彼女の目も。
彼女は、来るだろうか。