第1章 きみを見つけた
青葉城西高校。
桜の季節がやってきて、新1年生がはいってきた。とはいえ、このあたりは都心部みたいに学校が多いわけじゃないから、大体同じ中学の奴がそのままこっちに来たりする。だからどこかで見た顔ばっかり。
それでも俺は可愛い子でもいたらいいななんてことを思いながら、ピカピカの新入生たちを眺めてた。
「及川、よそ見してんな」
「あー、ごめんごめん」
歩きながらぶつかったと思ったら、幼馴染の岩ちゃんだった。俺は口先だけで謝ったが、これは逆効果だったみたいだ。岩ちゃんの眉根がギュッと寄って、こわい顔になった。
「部活、今日から新入生はいるぞ。しっかりしろよ」
「わかってるってー。まぁ、金田一とか国見ちゃんでしょ。楽しみだね」
「…あいつは、来ないみたいだな」
あいつ、と岩ちゃんはあえて名前を出さなかったが、誰を指しているかはわかる。俺の可愛い可愛い大嫌いなあの野郎のことだ。影山飛雄。中学のときバレー部の後輩だった、天才と呼ばれたセッターだ。俺が卒業して正セッターになってからは、恐怖政治でチームをめちゃめちゃにしたらしいが、それは、まぁ、置いといて。
才能のかたまりだった飛雄と俺の相性は最悪!
高校まで一緒になんなくて本当よかった!
「…あ、でも、」
「あ?なんだよ?」
「いや、何でもない」
「なんだよ!」
「岩ちゃん、怒りっぽすぎ!」
いつも飛雄をみていたあの子は、一体どうなったんだろう。そんなことがふと、頭をよぎった。