第4章 目に焼きついた
「これ、…どうしたんですか」
「なまえちゃん用に買った!まーさすがに月々の支払いは払えないけど。高校生なんだし、絶対持ってたほうがいいでしょ」
「え、くれるんですか?」
「うん、安いやつだから」
なまえは手に持ったまま黙り込んでしまった。
…やばい。しくじっただろうか。全く反応が予想できない。気持ち悪いとか思われたか?それとも色が気に食わなかったのか?なぜかドキドキしながら彼女の言葉を待ったが、なまえは急に顔を上げた。
「確かにそろそろないと不便だなって思ってたんです」
「あ、そう、だよね。」
「及川さん、」
「ん?」
「ありがとうございますっ」
初めてなまえが俺に笑顔をみせた。
俺はこんなの全然タイプじゃないし、むしろ大キライなんだけど、その笑顔を見た途端心臓がどくんと脈打った。足が地面にはりついたみたいに動けなくなり、全身の血が顔に集まったみたいに熱くなる。あれ、おかしいな。
一体これは、どういうことだ。
目に焼きついた
(20150630)