第14章 壊れる R15
正気に戻ったのか
悪りぃ…と言って名前の手を引っ張り起こしてくれた
視線を合わせようとしないで何も喋らない高杉に名前はギュっと抱きつく
「…名前?」
「心配したよ…大丈夫だよ。私はここに居るし、何も見えなくないよ。ちゃんと見て?私が見えるでしょ?」
高杉の胸元に埋めていた顔を上げ、見上げるように高杉をみる
「ああ…ちゃんと見える…」
「バカ!!ちょっと怖かったんだからね!」
と言いながらまたギューっと抱きつく
高杉は手を名前の腰に回して、もう、片方は後頭部にやって抱き返す
「すまねぇ…怖い思いさせちまって…」
暫くの間抱き合っていると少し距離を開けられ後頭部を押さえていた手を名前のアゴへと回しクイっと上げられる
「?」
何が何だか分からない名前は疑問の顔を浮かべ、高杉を伺う
ゆっくりと顔を近づけられ、悟った名前は反射的に目を硬くギュっと閉じて少しだけ震える
それを見た高杉はフッと笑い
アゴにやっていた手をおでこに移動させ、前髪をかきあげるとチュっと小さな音を鳴らしておでこにキスをする
「へ?」
想像していた場所とは異なるところにきたそれに声が出てしまった
「何だ?別の所を期待してやがったのか?してほしいってんなら、やってやるが。」とニヤっと笑いながら言うと
少なからず当たっているその言葉に恥ずかしくなり「結構です!!」と顔を赤くしながらソッポを向く
そりゃ、残念だと小さく笑いながら高杉は言った